追いかけるのはメスか確認してるだけ?怖がられてるけど実は温厚でかわいい蜂 クマバチ

花の蜜を吸うキムネクマバチ 地上の生き物

クマバチとは?

キムネクマバチ

キムネクマバチ

クマバチはミツバチ科クマバチ属に属する蜂の総称で、世界には約500種が確認されています。日本の在来種は「クマバチ(キムネクマバチ)」「アマミクマバチ」「オキナワクマバチ」「アカアシセジロクマバチ」「オガサワラクマバチ」の5種が確認されています。
胸の毛が黒いクマバチ

毛が黒い種類のクマバチ

羽音が大きく近くを飛ぶと「ブーン」という大きな音がなること、体長は2cmを超える大きさで、他の蜂と比べてずんぐりをした体型をしていることから威圧感のある風貌をしています。

前進真っ黒で胸部の毛の色は種類にもよりますが、キムネクマバチは名前の通り綺麗な黄色になっています。
肉食性のオオスズメバチなどとは異なり、ミツバチと同じように花粉や花の蜜を食べます。頑丈な顎と太い口(吻)を持っているので蜜が固く守られている花でも難なくありつくことができるため、初夏から秋にかけては様々な花を訪れます。

クマバチとクマンバチの違い

地域によってはクマバチのことをクマンバチと呼ぶことがあります。ただし、地域によってはスズメバチやマルハナバチのことをクマンバチと呼ぶこともあります。
広い地域でクマンバチ=クマバチですが、地方名や方言では別の種を指すこともあるので注意しましょう。キノコでは毒キノコと可食キノコの名前が混同していることもあるので注意が必要です。
https://poison-pocket.com/wrong-mushrooms/

クマバチは危険?

花の蜜を吸うキムネクマバチ

花の蜜を吸うキムネクマバチ

結論から言うとクマバチは少し注意は必要ですが、非常に温厚でおとなしい性格で危険性は低い昆虫です。

大きな体に大きな羽音は威圧感がありますし、そんなクマバチに追い掛け回されてしまった思い出がある人も多いので危険な蜂と認識してる人も多いと思いおます。
しかし、クマバチで毒針を持っているのはメスだけです。オスに毒針はないので、刺される危険性は全くありません。
クマバチのオスは繁殖期に入ると地上1,2mほどの高さでホバリングしてメスが現れるのを待ちます。そんなクマバチの前に近づいて来るものをメスかどうか判断するためしつこく追跡する習性があります。
クマバチに追いかけまわされたことがある人はもしかしたらクマバチのオスがあなたをメスのクマバチだと思って追い掛け回していたのかもしれません。
ただし、毒針を持っているメスに刺激を与えると刺されてしまう可能性があるので注意が必要です。巣や花の近くにいるクマバチには念のため近づかないようにしましょう。

分布・生息域・巣

木に巣をつくるクマバチ

Photograph by りなべる

クマバチ(キムネクマバチ)は北海道から九州にかけて広く分布している日本で最も馴染みのあるクマバチです。山や林などの自然の中はもちろん、人の生活県内でもよく見ることが出来ます。

大きめ枯れ枝や木材、木造家屋の柱などに穴をあけて巣をつくります。人に害を与える危険性は低いですが、家に巣をつくられてしまうと強度が落ちてしまい危険なため、木造家屋に住んでいる場合は注意しましょう。
また、クマバチの巣と思われる丸い穴の開いた木材には近づかないようにしましょう。

クマバチの毒

キムネクマバチ

メスの持っている毒針で注入される毒自体はあまり強くなく、もし刺されたとしても重症化する可能性は低いとされています。ただし、オオスズメバチなどの危険な蜂と同様に一度刺されたことがある人がもう一度刺されてしまうとアナフィラキシーショックにより重症化してしまう場合もあるため、一度でも刺されたことがある人は注意しましょう。
また、毒性は強くありませんが、毒針は太いため刺されたことによる単純な痛みはあるので刺されないに越したことはありません。

もしも刺されてしまったら?

手洗い

もしも刺されてしまったら慌てず騒がず蜂のいない場所まで避難しましょう。その後、もしも毒を吸い出せる道具があれば毒を吸い出してすぐに水でよく洗い流しましょう。もし抗ヒスタミン軟膏やステロイド軟膏があれば塗っておき、保冷剤などで冷やした状態で様子を見ます。
一度でも刺されたことのある人はすぐに周りの人に助けを求めて様子を見てアナフィラキシーショックの症状(息苦しさや眩暈、吐き気等)が現れたらすぐに医療機関を受診しましょう。

クマバチと関係のある動植物

紫色の藤の花
クマバチと共存関係にある生き物は数多くいますが、その一部を少しだけ紹介します。

フジ(藤)の仲間

藤の花

藤の花

クマバチはフジの仲間を特に好みますが、フジの仲間の蜜は固い構造で守られているので、クマバチ以外の昆虫はなかなか蜜にありつくことが出来ません。

一方でクマバチは木に穴を開けられるほど強力な顎を持っているのでフジの蜜にも簡単にありつくことが出来ます。
フジにはさらに戦略があり、花の蜜をクマバチが取るときに腹部や胸部に花粉をくっつけられる構造になっていて、クマバチが花粉を運ぶことを狙っています。
このようにクマバチを花粉媒介のパートナーに選んでいる花のことを「クマバチ媒花」と呼びます。
フジの仲間で多く見られる特徴ですが、それ以外にもパッションフルーツなどの熱帯果樹などでも見ることが出来ます。

ヒラズゲンセイ

ヒラズゲンセイ

ヒラズゲンセイは幻の昆虫として知られる毒を持つ昆虫で、クマバチを利用する天敵です。クマバチの巣に侵入して卵を産んでクマバチに育てさせるという面白い生態をしています。

赤いクワガタともいわれていますが触るだけで水ぶくれを起こすような強力な毒を持っている危険な生き物です。
詳しくは以下で紹介しているのでぜひ見てください。
https://poison-pocket.com/synhoria-maxillosa/

まとめ

クマバチは体も羽音も大きいので、危険な存在と思われていることも多いですが、実は非常に温厚で滅多なことでは人を襲うことはありません。毒針を持っているのもメスだけで刺激しなければそこまで気にする必要はありません。
もし刺されても毒性は弱いので重症化するリスクは低いですが、刺されるのが2回目以上の人はアナフィラキシーショックを起こす可能性があるので注意しましょう。
実は温厚なのに恐れられてしまっている最もかわいそうな蜂かもしれません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました