幻の昆虫!?赤いクワガタとも呼ばれる猛毒を持った虫 ヒラズゲンセイ 

ヒラズゲンセイ 地上の生き物
Photograph by gbohne from Berlin, Germany

ヒラズゲンセイとは?

虫かごに乗ったヒラズゲンセイ

ヒラズゲンセイはツチハンミョウ科の真っ赤な体が特徴的な甲虫の一種です。大きなハサミを持っているので新種のクワガタ!?と思ってしまう人もいるかもしれませんが、ツチハンミョウ科に分類されているので全く別の種類です。

真っ赤な見た目はヤドクガエルやヒョウモンダコと同じように毒を持っていることを外敵に知らしめるための「警告色」です。ナナホシテントウのような生易しい毒ではなく、人間にとっても非常に有害で触っただけでも害のある猛毒を出すため、小さいお子さんなどが見つけたときには素手で触らないように注意が必要です。

実は毒を持っている日本でもお馴染みの益虫 ナナホシテントウ
...

大きさは20~30mm(2~3cm)程度とコクワガタと同じくらいの大きさで、成虫は5月下旬から7月中旬頃に現れてくるので、クワガタがと同じ時期に出てくるのも間違えてしまう可能性が大きい要因です。

国内では非常に珍しくなかなかお目にかかれない存在なので「幻の昆虫」とも呼ばれています。

ちなみに、ヒラズゲンセイに限らずツチハンミョウ科の生き物はヒラズゲンセイと同じ毒を持ってる種類もいて、日本ではヒメツチハンミョウマメハンミョウなどによる被害が時々発生しています。

分布・生息地

一昔前は九州や四国で主に見られ、本州には分布していないとされていましたが1976年に和歌山県で発見されてから、大阪や京都など近畿地方でも見つかっています。

現在の日本の分布は近畿地方以西の本州、四国、九州なので、特に西日本に住んでる人はこの幻の昆虫に出会っても触らないように注意しましょう。

近年の地球温暖化により少しずつ分布を広げているようなので、近畿地方より東側でもいつか見つかる日が来るかもしれません。

色々な場所で見かけますが、その不思議な生態からクマバチの巣の近くで見かけることもよくあるようです。

○○に寄生する不思議な生態

キムネクマバチ

キムネクマバチ

ヒラズゲンセイはキムネクマバチに寄生するという面白い生態をしています。

キムネクマバチの巣の近くで繁殖活動をしたヒラズゲンセイは、その後キムネクマバチがいない隙を狙って巣の中に侵入し産卵します。卵から孵った幼虫はキムネクマバチが取ってきた花の蜜を食べて、キムネクマバチの幼虫と共に成長します。

詳しいことはまだわかっていないようですが、幼虫の時にキムネクマバチにくっついてどこかで過ごしてから、また体にくっついて巣に戻るという不思議な行動が確認されています。

その後、さなぎを経て成虫になるまでずっとキムネクマバチの巣で過ごして独り立ちします。

ヒラズゲンセイの毒

枯葉の上にいるヒラズゲンセイ

ヒラズゲンセイは刺激を受けると黄色い毒液を体から分泌して身を守ります。この毒液にはカンタリジンという猛毒が含まれているため、もしも触ってしまうと痛みと共に水泡(水ぶくれ)が現れます。

カンタリジンを含む製剤の多くは劇薬に指定されるほどの猛毒で、もしもカンタリジンを摂取してしまったときの致死量は30mg程度とも言われています。

そのため、ヒラズゲンセイ数匹分の毒を集めると命に関わるくらいの毒が集まってしまうくらい強力です。

食べてしまうということはまずないと思いますが、触っただけで痛みと水ぶくれが現れるくらいの猛毒なのです。

触ってしまった時の対処法

手洗い

もしも毒液に触ってしまった場合には、すぐに流水で洗い流しましょう。すぐに洗い流せない場合にはすぐにハンカチやティッシュでふき取って、すぐに洗える場所に向かいましょう。

腫れや水ぶくれ、痛みが強い場合には念のため病院に行って治療を受けましょう。

まとめ

ヒラズゲンセイは日本で見かける機会が少ないため、幻の昆虫や赤いクワガタなどと呼ばれる毒を持った昆虫です。真っ赤な見た目と大きなハサミが特徴的なツチハンミョウ科の一種で、珍しいことから子供が触ってしまい毒液に触れてしまう事例も結構あります。

毒はカンタリジンという非常に強力な有毒成分なので触ってしまうと痛みや水ぶくれなどが出てしまうので、もしも触ってしまったらすぐに水で洗い流して対応するのが正解です。

日本では西日本に生息しているのでもしもヒラズゲンセイと思われる虫に遭遇したら近づかずに眺めるだけにとどめておきましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました