美味しそうな見た目に注意!秋は猛毒を持つ超身近な果実にご用心 ヨウシュヤマゴボウ

ヨウシュヤマゴボウ 植物

ヨウシュヤマゴボウとは?

ヨウシュヤマゴボウ
ヨウシュヤマゴボウはヤマゴボウ科ヤマゴボウ属に属する多年草で、秋にはブルーベリーのような黒紫色の果実がブドウのような形で実を付ける植物です。
高さは1~2mほどに成長し、茎が赤くなっているという特徴があり秋になると紅葉するため、見た目的比較的見分けはつきやすいです。
山ごぼうの味噌漬け

山ごぼうの味噌漬け

漬物や味噌漬けなどに加工して販売されている「山ごぼう」とは全く別の種類です。山ごぼうは普段の食事でもお馴染みのキク科のごぼう(牛蒡)やキク科のモリアザミ(キクゴボウ)の根のことなので、ヨウシュヤマゴボウとは全く違う系統の植物です。

なぜヨウシュ”ヤマゴボウ”という名前なのかというと、根が太くごぼうに似ていることからヨウシュヤマゴボウと呼ばれるようになりました。
見た目や名前から食べられそうなイメージを持つかもしれませんが、実は全体に有毒成分が含まれているため、食べることはできません。

分布と原産地

ヨウシュヤマゴボウは北アメリカ原産の植物で、名前の”ヨウシュ”は洋酒から来ています。別名アメリカヤマゴボウとも呼ばれています。
日本には明治時代初期以降から各地で繁殖しており、現在では帰化植物の一種として全国各地に生息しており、都心部でも庭や空き地などで見ることができる身近な存在です。

別名インクベリーの由来

ブルーベリー
ヨウシュヤマゴボウは別名としてインクベリーとも呼ばれていますが、これは果実に含まれる果汁は強い染料で、衣類や皮膚につくと洗ってもなかなか落ちないという特徴があるためです。
果実はやわらかいため軽く触っただけでも果汁が出てきて汚してしまうことがあるので触れるのはできるだけ避けるようにしましょう。また、果実に含まれる有毒成分には刺激作用もあるため、食べるのはもちろんNGですが触れることも極力避けるようにしましょう。
このような特徴から簡易的な染料として使用されていました。また、かつてアメリカでは安価なワインに鮮やかな色を付けるための着色料として使用されていましたが、有毒成分が含まれることがわかったため現在では使用されることはなくなりました。

ヨウシュヤマゴボウの毒

ヨウシュヤマゴボウ
ヨウシュヤマゴボウには全身にフィトラッカトキシン、フィトラッカサポニン、フィトラッカゲニンなどの成分が含まれていて、その量は根>葉>果実の順に多いとされていまが、果実の中にある種子は毒性が高いので果実を食べることはできません。
もしも食べてしまうと2時間ほどで強い嘔吐、下痢を引き起こします。さらに摂取量が多い場合には、強い興奮状態や錯乱状態を引き起こすとともに中枢神経を麻痺させるによる痙攣や意識障害が現れ、重篤な場合には呼吸麻痺や心臓麻痺により死に至ります。
幼児の場合には種子入りの果実数粒分で重篤な症状を引き起こすことがあるため、十分に注意する必要があります。
ちなみに、有毒成分は煮沸により分解されるため、アメリカの一部の地域では若芽を茹でて食用にしていたという記録も残っています。

誤食事故の例

厚生労働省が発表している過去10年の有毒植物による食中毒発生状況(平成26年~令和5年)によるとヨウシュヤマゴボウを山ごぼうと間違えて食べてしまった事例が5件起きています。
山菜採りを趣味にしている人や、知り合いから山菜を受け取る際には十分に注意して、間違いないと自分自身で判断できない場合には食べないようにするなど十分に気を付けましょう。

中毒事故の予防・対策

草刈り
小さい子供が食べられる果実と勘違いして食べてしまう可能性があるため、庭などに生えている場合は果実がなる前に刈り取るようにしましょう。
また、触ると手について汚れが落ちないため触らないことや、毒があることを伝えるようにしましょう。

まとめ

ヨウシュヤマゴボウは秋に有毒の果実を実らせる日本に帰化した北アメリカ原産の多年草です。有毒成分が含まれるため食べることはNGですが、触るだけでも刺激作用があります。さらに、果汁は強い染料としての特徴もあるため衣類や皮膚につくと洗っても全然落ちません。
都心部でも比較的身近に見ることができるため小さい子供が誤って食べてしまうこともあるため注意が必要です。種子は特に毒性が強いため幼児は数粒でも重篤な症状が現れることもあります。
キク科の山ごぼうにとても似た根をしているため、日本でも誤食事故が複数起きていることが名前の由来になっています。山菜をとる人や山菜をもらう機会のある人は十分に注意しましょう。

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