生物界最強の猛毒を持つ生き物の正体とは?実際の事故事例が恐ろしすぎる マウイイワスナギンチャク

マウイイワスナギンチャク 水中の生き物
Photograph by Debra Baker
マウイイワスナギンチャクは細菌や微生物を除く生物界で最も強い毒を持つ生物で、その恐ろしさは他の生き物が持っている毒とは比較にならないほど恐ろしい猛毒です。
今回はものすごい猛毒を持つイソギンチャク、マウイイワスナギンチャクについて紹介していきます。

マウイイワスナギンチャクとは?

Photograph by Debra Baker

マウイイワスナギンチャクはハワイ原産のスナギンチャクの仲間で、イワスナギンチャク科イワスナギンチャク属に属するイソギンチャクです。名前の通りハワイ州のマウイ島周辺に生息するイワスナギンチャクの仲間です。
学名は「Palythoa toxica」、現地のハワイ語では「limu-make-o-Hana(ハナ(マウイ島の東端にある村)の死の海藻)」と猛毒を持っていることが分かる名前で呼ばれています。
イソギンチャクの中では比較的小さく体長は3.5cm程度となっていますが、多くの個体は群れて岩場にくっついています。

密集したマウイイワスナギンチャク

密集したマウイイワスナギンチャク
Photograph by Debra Baker

色はクリーム色、ハイイロ、淡褐色など様々な色をしており、堅くて丈夫な外皮を持っているため、口を閉じているときは岩と見分けがつきにくい姿かたちをしています。

ちなみに、イワスナギンチャクの仲間の特徴として、体の補強のために体内に砂などを埋め込むという特徴があります。

分布・生息地

ハワイ

マウイイワスナギンチャクはハワイのマウイ島で初めて発見され、その後はハワイ諸島の他の島でも数か所で発見されています。

このように分布している地域は非常に限られており、日本国内ではこのイソギンチャクによる影響を心配する必要はほぼないと言って大丈夫でしょう。

マウイ島

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しかし、ハワイは日本から観光に行く人も多く、その危険性を知っておくことで思わぬ事故を防ぐことにつながるかもしれません。

というのも、深さ25cm程度と非常に浅い岩場に生息していることが多く、人が近づきやすいという問題があります。

後ほど詳しく紹介するように、近づいただけでも影響が出るような非常に危険な猛毒を持っているため分布や生息地を把握しておくことが重要です。

ちなみに、浅い場所に棲んでいるため大雨の時期には淡水が多量に流れ込んでくるため、塩分濃度が低くなることもよくありますが、それでも生きていけるため広塩性の生物であると考えられています。

あまりにも強すぎる最強の猛毒とは?

マウイイワスナギンチャク

Photograph by Debra Baker

マウイイワスナギンチャクの持っている世にも恐ろしい猛毒の正体は「パリトキシン」という毒です。

パリトキシン

パリトキシンの構造図

この毒はフグ毒として有名なテトロドトキシンの50~200倍以上青酸カリと比べると10万倍ほどの強さを誇ります。(文献により毒性の強さは変わるため中には青酸カリの8000倍以上と表現されることもあります。)

その強さは微生物などが生み出す一部の有毒成分を除き、生物界の中では圧倒的な強さでモウドクフキヤガエルよりも圧倒的な強さです。

https://poison-pocket.com/poison-frog/

この毒を摂取するとナトリウムチャネルに作用し、激しい筋肉痛、高熱、咳、嘔吐、黒褐色の排尿、呼吸困難、歩行困難、麻痺、痙攣などの症状が現れ、重篤な場合には死に至ります。

また、この熱はフグ毒として有名なテトロドトキシンと同様に熱しても分解されず、解毒薬もないため非常に危険な猛毒です。

ハワイ諸島の原住民はイソギンチャクの仲間が出す猛毒をヤリの先端に付けて狩りなどに役立てていました。猛毒が含まれる海水が溜まっているような場所は現地では神聖な場所とされていたようです。

致死量

パリトキシンの半致死量(LD50)はマウスの静脈注射で0.15µg/kgで、フグ毒として有名なテトロドトキシンはマウスへの静脈注射で8µg/kgのため50倍以上の強さがあります。

毒の効き方は生物によっても個体によっても異なりますし、摂取の仕方によっても大きく変わるため致死量や半致死量を正確に示すことはできませんが、ヒトと同じ哺乳類に対する毒性を見る限りテトロドトキシンよりも大幅に毒性が強い成分であると言えます。

ヒトに対する致死量が0.1µg/kgであった場合、体重60kgの人はたったの6µg(6mgの1000分の1、6gの100万分の一)で死に至ってしまう強さであることを示します。

細菌や微生物の生み出す有毒成分にはさらに強い有毒成分もあり、現在地球上で最も強いとされる有毒成分はボツリヌス菌が作り出すボツリヌストキシンです。

https://poison-pocket.com/clostridium-botulinum/
用語解説
LD50(50%致死量、半致死量):Lethal Dose 50 ある一定の条件で動物にある物質(成分)を投与した場合に、動物の半数を死亡させる物質(成分)の量を示しています。LD50を使うことでその物質(成分)の毒性を比較することができます。一般的にはLD50 1500mg/kg以上の物質(成分)が安全とみなされています。

過去にあった恐ろしい中毒事例

家の中で倒れる男性

2018年にとあるイギリスに住む4人の家族にある事件が起こりました。両親と長男とその彼女は健康そのもので、犬と熱帯魚を迎えて楽しく過ごしていました。

ところがある日、長男は突然激しい咳と頭痛に悩まされることになり、その症状は彼女にも現れました。

その後節々の痛みとひどい吐き気も現れたため病院に行きましたが、診断の結果は風邪ということで薬が処方されることになりました。

しかし家に帰るとまた激しい咳の症状が現れて薬も全く効きませんでした。さらに2人だけでなく両親にも症状が現れたため救急車を呼びましたが呼吸困難により意識が無くなってしまいました。

通報を受けて到着した救急隊も家に足を踏み入れると体調を崩したことから家に毒ガスが充満しているような状況になっていました。

家の水槽その後家族は一命を取り留めましたが、その原因は熱帯魚と一緒に買ったサンゴの中にマウイイワスナギンチャクが混じっていたためでした。

常に有毒成分を放出するわけではありませんが、何か衝撃を受けるなど身の危険を感じるとパリトキシンが含まれた粘液を出しますが、それがポンプを通った際に気化し空気中に充満してしまっていたのでした。

極めて少ない量にも関わらず、これほどまでに重篤な症状を引き起こすことからもパリトキシンの恐ろしさがわかります。

まとめ

マウイイワスナギンチャクはパリトキシンという青酸カリの8000~10万倍ほどの強さを誇る猛毒を持っているイソギンチャクの仲間で、主にハワイ諸島周辺を中心に分布しています。

過去には通販で買ったサンゴにマウイイワスナギンチャクが入っていて、ポンプを通じて気化した猛毒が家の中で充満し命を脅かされたという事件がイギリスで起こっています。

細菌などが生み出す猛毒のほうが強い成分もありますが、フグやヤドクガエルなどあらゆる生物の持っている猛毒よりも、マウイイワスナギンチャクが持っている毒のほうが強く、販売されている書籍でも世界一の猛毒を持つ生物として紹介されています。

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