モンステラ(ホウライショウ)とは?

ホウライショウ(鳳莱蕉)はサトイモ科ホウライショウ属(Monstera属)に属する植物で、学名「Monstera deliciosa(モンステラ・デリシオサ/デリシオーサ)」からモンステラやモンステラ・デリシオサとも呼ばれています。
モンステラの語源はモンスターと同じラテン語の”monstrum”で怪物などの意味があり、デリシオサの語源はデリシャスと同じラテン語の”deliciosa”で歓喜などの意味を持っています。
暖かい地域で育つ植物のため日本では観葉植物として広く利用されていて主に鉢植えで楽しまれていますが、実はモンステラは大きくなると7,8mを超え、葉の大きさは最大で1mを超えるほどのサイズになります。
葉の形が非常に特徴的で葉に穴が空いたような形や深い切れ込みが入ったような形など様々な形と鮮やかな緑色を楽しむことができるのも観葉植物として人気な理由となっています。
幻の果実

モンステラの花は同じサトイモ科のミズバショウの花を大きくしたような非常に独特な形をしています。
花びらに見える周りを包んでいるのは、仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる葉が変形したもので花ではなく、中心にあるトウモロコシのような部分が花で受粉することで不思議な果実になります。

水芭蕉の花

モンステラの花
開花からこの果実が成熟して食べられるようになるまでは12~14ヶ月もの年月が必要なため、市場にはほとんど出回らず幻の果実と表現されることもあります。
未熟な果実には有毒成分が多く含まれていますが、熟すと有毒成分が減るためエグ味が残ることはありますが食べることができるようになります。果実の根元から数日かけて熟れていきポロポロと取れるようになると食べごろです。

モンステラの蕾

モンステラの花と果実

完熟した果実
熟れた果実はパイナップルとバナナを混ぜ合わせたような香りと味がするとよく表現されますが、実際の味はそのどちらとも少し違うような唯一無二の南国フルーツのようだとも言われます。
沖縄や小笠原諸島など暖かい地域に行ったときには一度は食べてみたいフルーツのひとつですね。
分布・生息地

メキシコから中央アメリカが原産で、主にパナマ~メキシコのジャングル地帯を中心に生息しています。
耐寒性も多少ありますが基本的には温暖な気候を好み、耐陰性もありますが日当たりの良い場所ではグングン育ちます。
日本だけでなく様々な場所で観葉植物として鉢植えで育てられていますが、ハワイや沖縄などの暖かい地域では庭先に植えられて大きく育てられています。
3,4℃を下回ると育成に影響を与え、最終的には枯れてしまうため日本の一部地域を除いて自然に分布していることはほとんどありません。
モンステラの毒

モンステラには果実だけでなく全草にシュウ酸カルシウムが含まれています。そのため、もしもペットのネコやイヌが葉っぱや茎をかじってしまうと口内の炎症、嘔吐、下痢、ものが飲み込めなくなる、呼吸困難などの症状が現れることがあります。

シュウ酸カルシウムの針状結晶
また、人もモンステラの樹液に触れてしまうとかぶれや炎症を引き起こす可能性があります。
シュウ酸カルシウムと聞いても毒性が強いのかイマイチよくわからない人も多いかもしれませんが、実は「毒物及び劇物取締法」によって劇物(大人が誤飲した場合の致死量が2~20g程度のものなど)に指定されている物質です。
シュウ酸カルシウムの結晶は針状となっているため、突き刺されるような刺激を受けるとともに、口やのどに灼熱感や痛み、腫れなどを引き起こします。

上の方は熟している
摂取量が多い場合には深刻な消化器官の障害や特に肝臓や腎臓への重大な損傷、呼吸困難などの症状を引き起こし、最悪の場合には昏睡状態に陥ったり死に至る可能性もあります。
モンステラの未熟な果実にはシュウ酸カルシウムが多く含まれていますが、たくさん食べたとしても命のかかわるほどの量を食べるには意図的に食べ続ける必要があるため、きちんと熟したものを適切な量食べるようにすればそこまで気にする必要はありません。
ちなみに、シュウ酸カルシウムは尿路結石の主成分としても知られており、命を刈り取るような形をしている理由としてシュウ酸カルシウム結晶が針状結晶となっているためです。
尿路結石にならないために

尿路結石は激痛を伴うことが多いため、尿路系にシュウ酸カルシウムなどの結晶が発生しないように注意が必要です。
予防策として、水分を多く摂り、食生活を改善して肥満を防止することが重要です。また、脂質、動物性たんぱく質、お茶や紅茶、酒(特にビール)を減らして、ホウレンソウなどシュウ酸の豊富な野菜の取り過ぎに注意しましょう。

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そして、カルシウムは多すぎも少なすぎもせず摂取するように注意するべきとされています。
シュウ酸カルシウムを多く含む食材

シュウ酸カルシウムが多く含まれている食材は意外と身近にあります。モンステラほどの量はありませんが、気付いていないだけでほとんどの人がシュウ酸カルシウムの影響を感じたことがあります。
そこで、含有量の多い身近な食べ物をいくつか紹介していきます。
なお、シュウ酸カルシウムの多い食材をたくさん食べたからと言って尿路結石になるリスクが必ずしも上がるわけではありません。むしろ、血液中でシュウ酸カルシウムになる可能性がある「シュウ酸」が多い食材のほうが危険性が高いと言われています。
パイナップル

未熟なパイナップルにはシュウ酸カルシウムが多く含まれているため、もしも食べてしまうと口内がピリピリしたような感覚になることがあり、場合によっては粘膜が荒れて口内炎ができることがあります。
熟したパイナップルはシュウ酸カルシウムの量も減りますが、それでもシュウ酸カルシウムの影響で口内が荒れる可能性があります。
キウイフルーツ

キウイフルーツも酸味と甘みのバランスが絶妙で美味しい果物ですが、シュウ酸カルシウムが多く含まれています。
キウイフルーツをたくさん食べて口内が荒れてしまった経験がある人もいるかもしれませんが、これはシュウ酸カルシウムが原因です。
サトイモや山芋

サトイモや山芋にもシュウ酸カルシウムが含まれています。
皮を剥いたりすりおろしたりするときに素手で触るとかゆくなった経験のある人も多いと思いますが、これも針状結晶であるシュウ酸カルシウムが皮膚に刺さることで起こっています。
まとめ
モンステラ(ホウライショウ)はメキシコやパナマ周辺に主に分布していますが、切れ込みの入ったような独特な形をしているため、日本でも観葉植物として人気です。
モンステラには全草にシュウ酸カルシウムという日本では法律で劇物に指定されている成分が多く含まれているため、触ってしまうとかぶれたり炎症したりする可能性があります。
イヌやネコなどペットを飼っている人はモンステラをかじってしまわないように注意が必要です。
果実は成熟に1年以上の年月がかかること、シュウ酸カルシウム由来のエグ味があることから市場には出回りませんが、完熟した果実は非常においしいため一部で楽しまれています。
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