〇〇粒食べると中毒を起こす!?美味しいけど実は危険な食べ物 ギンナン

ギンナン 植物

ギンナンとは?

大量のギンナン
ギンナンは秋になると紅葉で黄色く色づくイチョウがつける種(実)のことです。イチョウには雄株と雌株があり、雌株だけがギンナンを付けるのですべてのイチョウがギンナンを付けるわけではありません。
ギンナンは茶碗蒸しや串焼きなど和食や中華料理など幅広く食用として使われています。
独特な苦みと風味は好きな人と嫌いな人で結構分かれる昔から馴染みのある食材ですが、実は食べ過ぎてしまうと中毒を起こす危険性があります。どれくらい食べると危険なのか、死亡事例はあるのかなどは後ほど詳しく紹介していきます。
ちなみに、イチョウは漢字で「銀杏」「公孫樹」「鴨脚樹」と書きますが、ギンナンも漢字で「銀杏」と書くので、漢字だけだとどちらを指すのか分かりづらいので要注意です。

イチョウは生きた化石!?

立派なイチョウ

樹高40–45 m、直径4–5 mになる

イチョウは身近な樹木ですが、実は世界最古の現生樹木の一つでその歴史は非常に長くペルム紀(約2億9900万年前から約2億5100万年前)に出現したとされています。2億5000万年以上前から現在まで現存しているため「生きた化石」とも言われている植物です。

そんな歴史のあるイチョウですが、残念ながらイチョウの仲間はすでに絶滅してしまっており、現在はイチョウ綱イチョウ目イチョウ科イチョウ属イチョウの一種のみが現生しています。
イチョウの仲間は17属に分類されていて、化石から昔は世界各地に分布していたことが分かっていますが、恐竜が絶滅した後の新生代に入り徐々に姿を消していきました。
約100万年前までは北海道にイチョウ属の「Ginkgo adiantoides」が存在していましたが、残念ながら今では姿を消しています。
そんな特殊の分類しているイチョウは大きい葉っぱを持っていますが広葉樹ではありません。では針葉樹かというと実はそうでもなく、広葉樹にも針葉樹にも分類されていません。
また、ギンナンのことをイチョウの実と呼ぶこともありますが、集めの樹皮に覆われた種で果実ではないので被子植物ではなく裸子植物なんです。

ギンナンの臭いの正体

ギンナンにはものすごい悪臭があるので、秋ごろになると毎年臭くなる道がありますよね。その悪臭の原因はギンナンの樹皮に「酪酸」「エナント酸」という悪臭を出す成分が含まれているためです。
酪酸の構造図

酪酸の構造図

エナント酸の構造図

エナント酸の構造図

食用にしている種の中身にはこれらの成分がほぼ含まれていないためおいしく食べられますが、黄色~オレンジ色になる厚い樹皮には多く含まれているため種ができる時期は周囲に悪臭をまき散らします。
さらに厄介なことに、種が地面に落ちるとその種を踏んで地面に踏み固められることで地面が滑りやすくなり転倒事故の原因になることもあります。
困ったことに酪酸は揮発しにくい性質があるので、ギンナンの上に転んでしまうと着ていた服についた臭いがなかなか落ちないので注意しましょう。

ギンナンに含まれる毒とは?

ギンナン料理
古くからギンナンには毒があることが知られているため、日本には「歳の数以上は食べてないけない」と言われています。それではどのような毒が含まれているのか紹介していきます。

食中毒の危険性

ギンコトキシンの構造図

ギンコトキシンの構造図

ギンナンの食用部分には、神経毒であるギンコトキシン(別名:4′-O-メチルピリドキシン)が含まれているため、大量に摂取してしまうと中毒症状が現れたり、てんかん発作を誘発したりします。
ギンコトキシンはビタミンB6(ピリドキシン)と構造的に似ていて拮抗作用がある(効果を阻害する)ため、ビタミンB6欠乏症の症状である意識障害や痙攣などの症状が現れ、最悪の場合には死に至ることもあります。
過去の分析結果では、ギンナン1グラムあたり0.173~0.4mg のギンコトキシンが含まれていることが確認されています。この有毒成分は調理で熱しても分解されないので注しましょう。

中毒事例と致死量

身体の小さい小児のほうが身体の大きい大人よりも同じ量を食べたときに中毒症状を起こす可能性が高いため、「歳の数以上は食べてないけない」と言われています。
ただし、実際には個人差が大きいためこれを守れば必ず安全というわけではないので注意しましょう。過去の中毒事例と死亡事例を参考に注意して食べましょう。
  • 1歳男:7時間で約50個で全身性けいれん発症
  • 2歳女:50~60個食べて7~9時間後に嘔吐、下痢、全身性けいれん発症
  • 41歳女:60個食べて4時間後に嘔吐、下痢、両腕の震え
ある報告によると小児は7~150個、成人では40~300個で中毒を起こしたとされています。
死亡事例の報告では15~574個という報告があり、特に食糧難になっていた戦後での報告が多いようです。現在では大量に食べる機会は多くないかもしれませんが食べ過ぎには注意しましょう。

皮膚炎の危険性

熟れると黄色くなる種皮に含まれる乳液には、アレルギー性皮膚炎を引き起こす「ギンコール」「ビロボール」といった成分が含まれています。これはウルシに含まれるウリシオールと似ており、直接触ってしまうと同じようにかぶれを引き起こすことがあります。
ギンナンの種皮が乾燥していない時に採取するときは、直接触らずに手袋をするかトングなどを使って採るようにしましょう。
ビロボールの構造図

ビロボールの構造図

もしもギンナンを食べすぎてしまったら?

地面に落ちた大量のギンナン
ビタミンB6の働きが抑制されることで中毒症状が現れるため、ビタミンを取り込むことで症状を抑えることが出来ます。ギンナンをもしも食べすぎてしまい体調の異変を感じたらすぐに病院に行きましょう。
全身性けいれんが現れてしまうと助けを求めるのも難しくなるため、少しでも異変を感じたらすぐに周りに助けを求めて冷静に対処しましょう。
おつまみなどとして食べ過ぎないように注意することが重要です。また小さい子は数時間食べる時間をおいたとしても中毒が現れる可能性もあります。

まとめ

ギンナンはイチョウの種のことで、独特な風味と苦みが特徴的な馴染みのある食べ物です。一方でギンコトキシンという有毒成分が含まれているので、もしもたくさん食べてしまうと中毒症状が現れます。
大人は数十~数百粒と大量に食べなければ中毒になる可能性は低いですが、小さい子どもは十粒くらいでも中毒を起こす可能性があるので1日で食べ過ぎないように注意しましょう。
もしもたくさん食べた後に異変を感じたらすぐに病院に行くようにしましょう。秋の味覚ギンナンはおいしいですが食べる量はほどほどにするのがよさそうです。

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