日本でも急増中!可愛くてキレイだけど青酸カリの10倍の猛毒を持つ危険な魚 ミノカサゴ

ミノカサゴ 水中の生き物

ミノカサゴとは?

ミノカサゴ
フサカサゴ科ミノカサゴ属に属する猛毒をもった日本でもよく見られる魚です。日本近海には近縁種のハナミノカサゴもよく見られますが、これらを含むミノカサゴ属はすべて有毒魚として知られています。
体色は赤、白、クリーム、茶色、黒など水中でも目立つ縞模様になっていて、これは毒を持っていることを外敵に知らしめるための警告色として機能しています。
この派手な見た目から英名はLionfish(ライオンフィッシュ)とも呼ばれていて、日本でもキヨモリ(平清盛が由来)など様々な別名・地域名で呼ばれています。ちなみに、和名のミノカサゴは長いひれを蓑に見立てたことが由来とされています。
有毒魚のためダイバーや釣り人を困らせることもしばしばありますが、実は身は非常においしいとされていて、味噌汁や刺身、煮付け、から揚げなど様々な方法で食べることが出来ます。大きさも30cmほどになるため大きい成魚は食べ応えも十分あります。
ただし、料理する際には細心の注意を払う必要があるため、好んで食べるようなことはあまりされず未利用魚として処理されてしまうことが多いようです。

分布・生息地

岩場のミノカサゴ
太平洋の南西部とインド洋に分布していて日本には北海道南部よりも南の岩礁に生息しています。夜行性のため日中は岩陰に潜んでいますが、肉食性のため釣り餌に食いつくこともよくあります。
近縁種のハナミノカサゴはインド洋東部~西太平洋にかけて広く分布していて、日本医は駿河湾よりも南の岩礁やサンゴ礁に生息しています。近年は北アメリカからブラジルのサンパウロ周辺まで分布を広げており、各地の在来種に破壊的な影響を及ぼしているとも言われています。
2024年には、日本でも富山湾などで個体数の急増が確認されており海水浴や磯遊び、釣りをするときなどには十分に注意する必要があります。

ミノカサゴの毒

ハナミノカサゴ
ミノカサゴの背びれ、腹びれ、尻びれには毒牙あり刺されると激しい痛みを引き起こすため、ダイビングやシュノーケリングなど水中にいる状態で刺されると非常に危険です。
ミノカサゴの毒は非常に強力で半致死量(LD50)は1.1mg/kgと青酸カリの約10倍ほどの強さを示します。タンパク質性の有毒成分が複数含まれていて、もしも刺されると激しい痛みに加えて刺された場所が赤く大きく腫れあがってしまい、手が刺された場合は指が曲げられなくなるほどパンパンになります。
さらに、発熱、眩暈、頭痛、吐き気、手足の麻痺、呼吸困難などを引き起こし、刺された箇所が多かったり適切な対処が遅れると命に関わる場合もあります。
ちなみに、有毒成分は非常に不安定なため、死んでいるミノカサゴからは有毒成分を検出できず、冷凍や冷蔵保存しても毒性が失われるため具体的な成分の解明はあまり進んでいません。

事故事例

ダイバーとミノカサゴ
非常に目立つ見た目をしているため、オニダルマオコゼのように気が付かずに刺されてしまうようなことはほとんどありません。
刺されてしまう主な原因は以下の3つが考えられます。
  • 水中で思わず触ってしまう
  • 釣り針を外すときに刺されてしまう
  • 料理をするときに誤って刺してしまう
ミノカサゴは動きが遅く近づいてもあまり逃げません。そのため、綺麗な見た目を近くで楽しむために近づいてしまい、毒があることを知らずに触ってしまうか誤って触ってしまい刺されることがあります。
また、釣り針を外すときにミノカサゴが暴れてしまい刺されるということもよくあります。近年は個体数が増えていて釣れる可能性も高くなっていることから針外しや魚用のトングなどを使い対策することが重要です。

もしも刺されてしまったら?

お湯に手をつける
ミノカサゴの毒はタンパク質性の毒のため熱に弱くお湯を使うことで痛みを和らげることが出来ます。具体的な対策として以下が推奨されています。
  1. 棘が残っている場合は目に見える大きな棘を取り除く
  2. 傷口を清潔に保つ(汚れなどがついている場合は洗い流す)
  3. 痛みを和らげるため患部を42~45度のお湯につける
火傷しないように注意する必要がありますが30~60分ほどつけることで痛みを和らげることができると案内されていることが多いです。
症状が重い場合や刺された箇所が多い場合は応急処置として上記の対応をするとともにすぐに医療機関を受診して治療を受けるようにしましょう。

まとめ

ミノカサゴや近縁種であるハナミノカサゴは日本各地で見られる有毒魚です。派手な見た目と優雅に泳ぐ姿から人気がある魚ですが、背びれ、腹びれ、尻びれには超強力な毒が含まれていて、その強さは青酸カリの10倍ほどになります。
恐ろしい毒は持っていますが、食べるとおいしく刺身、から揚げ、味噌汁など様々な方法で食べることが出来ます。ただし、料理するときにも危険を伴うため積極的に食べることはないようです。
近年は日本近海での個体数の急増も確認されてるため、ダイビングやシュノーケリング、釣り、海水浴など海に近づく機会があるときには十分に注意しましょう。

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