魚類のハチとは?

Photograph by Ryan Cheng
引用:https://www.114ehkreeffish.org/reef-fish/ocellated-waspfish/
カサゴ目ハチ科のハチ(蜂)(学名: Apistus carinatus)は、昆虫の蜂とは似ても似つかない見た目をしていますが、名前の由来は昆虫の蜂から来ています。これはハチの持っている毒のあるトゲに刺されると、ハチに刺されたような激しい痛みを引き起こすことからこの名前がつけられました。
また、長く伸びた胸ビレに注目したヒレカサゴという別名や、地方名としてカザハナ(和歌山県田辺)、カレススキ(富山県生地)、シラボシ(和歌浦)、シラボレ(和歌浦)、シロオコゼ(江ノ島)、セトビウオ(鹿児島県)、ヒヒラギ(富山県氷見)、ホゴ(鹿児島県)などと呼ばれることもあります。

オニダルマオコゼと同じようににハチの背びれ、腹びれ、尻びれに毒腺を持つ鋭い棘を持っていて、外敵となる捕食者から身を守るための強力な防御手段として機能します。
夜行性で昼は砂の中に体を埋めて眼だけを出すようにして身を隠していますが、驚くと胸びれを大きく広げて相手を威嚇する行動をとります。
肉食魚のため夜は獲物となる小型の甲殻類や魚類を探しますが、見つけると大きな胸びれ相手を追い込んだり、大きなひげで砂の中の獲物を探すような行動をとります。
分布・生息環境

Photograph by Ryan Cheng
引用:https://www.114ehkreeffish.org/reef-fish/ocellated-waspfish/
カサゴ目ハチ科のハチは、インド洋から西太平洋にかけての熱帯から温帯にかけての海域に広く分布しています。
インド洋ではアフリカ東岸、マダガスカル、インド、スリランカ、アンダマン海など、西大西洋では日本の南岸、東シナ海、南シナ海、東南アジア諸国、オーストラリア北部沿岸などに分布しています。
日本では茨城県以南の太平洋沿岸、瀬戸内海、九州西岸など南日本で確認されており、網を用いた漁で漁獲されることや、エビ漁に際に混ざって漁獲されることもあります。
水深100mよりも浅い沿岸部の砂泥海底に生息しており、特に水深30m付近で多く見られます。
オニダルマオコゼのように干潟で地雷のように埋まっているということも基本的にはありませんが、もしもハチの生息地域、環境に遊びに行く場合は念のため注意するようにしましょう。
ハチの毒

Photograph by Izuzuki
ハチが持つ毒は、主にタンパク質毒であると考えられています。この毒は、背びれ、腹びれ、尻びれの各棘の付け根にある毒腺細胞で産生されます。
毒の具体的な化学成分については、十分な研究がなされていませんが、他の近縁種(オニオコゼなど)の毒の成分から、タンパク質分解酵素、ヒスタミン、セロトニン、キニン類など、炎症や痛みを引き起こす生理活性物質が含まれていると推測されます。
もしも刺されると、刺された瞬間に焼けつくような、または電撃が走るような激しい痛みが生じます。刺された部位は、すぐに赤く腫れ上がります。腫れの範囲は、刺された部位だけでなく、周囲に広がることもあります。
症状の程度は、刺された人の体質や健康状態、刺された部位、注入された毒液の量によって異なります。通常は、数時間から数日程度で自然に回復することが多いとされています。
ハチは食べられる?

カサゴ目ハチ科のハチは、食用になる魚として知られています。毒を持つのは背びれ、腹びれ、尻びれの棘のみであり、身自体に毒はありません。
ただし、サイズも小さく食べられる身の部分も多くないため市場価値は低く市場に出回ることはほとんどなく、好んで食べる地域もないと考えられます。
骨はやわらかく、水分の多い白身と言われており、煮つけにして身を引き締めて食べるかから揚げにして丸ごと食べるとおいしいと表現されています。また、練り製品の原料になることもあると言われています。
調理の際の注意点
-
-
最も重要なのは、調理する際に毒棘を安全に取り除くことです。特に背びれや腹びれの棘は鋭く、不用意に触ると刺される危険性があります。
-
棘を取り除く際は、厚手のゴム手袋を着用するなどして、直接触れないように注意しましょう。
-
料理の専門家や、この魚の扱い方を知っている人に任せるのが安全です。
-
このように身に毒はないため食べることができますが、毒棘を安全に処理する必要があるため積極的に食べる魚ではないと言えるでしょう。
まとめ
カサゴ目ハチ科のハチ(Apistus carinatus)は、インド洋から西太平洋にかけての温暖な海域に生息する小型の海水魚です。
その名前は、刺されるとハチに刺されたような激しい痛みが生じることに由来し、背びれ、腹びれ、尻びれに毒腺を持つ鋭い棘を備えており、この毒はタンパク質を主成分とし、熱に弱い性質を持つと推測されています。
刺された場合には、激しい痛みや腫れなどの症状が現れます。しかし、この魚は身自体に毒はなく、毒棘を適切に処理すれば食用にすることが可能です。
沿岸部の砂泥底に身を潜めて生活しているため、海水浴などで生息地域に遊びに行くときは念のため用心しておきましょう。
過去一番のいくらでした!おすすめです!
コメント