ゴンズイとは?

ゴンズイ(学名: Plotosus japonicus)は、ナマズ目ゴンズイ科ゴンズイ属に属するナマズの仲間に分類される魚ですが、淡水に生息するナマズとは異なり主に沿岸の浅い海域に生息している海水魚です。

縞模様が特徴的
ゴンズイという名前ですが、釣りあげられた際にギーギーやグーグーと鳴くことからギギやググといった地方名があります。ちなみに、背びれと胸びれには硬く鋭い棘を持っているため、釣り人からは嫌われていることもよくあります。
体長は10~20cm程度の小型の魚で、体色は濃い茶褐色から黒っぽい色をしており、体側に黄色や白色の縦縞模様が入ることが特徴的です。この鮮やかな縞模様は、成長するにつれて薄くなります。

8本のひげで餌を探す
ゴンズイは主に夜行性であり、日中は岩陰やテトラポットの下や砂泥に潜って休んでいます。夜になると口の周りには4対(合計8本)のひげで暗闇の中や濁った水中、海底で小型の甲殻類やゴカイ類などを探して食べます。
幼魚は、互いに体を寄せ合って「ゴンズイ玉*と呼ばれる球状の群れを形成する習性で知られています。このゴンズイ玉は、数匹から数百匹にもなることがあり、これは捕食者に対する防御や、群れ全体で餌を探す効率を高めるために行われると考えられています。

ごんずい玉
Photograph by Jens Petersen
分布・生息環境

ゴンズイは、日本沿岸を含む西太平洋の温帯から熱帯域に広く分布しています。
日本における分布は、太平洋側では福島県から沖縄県まで広く分布しており、日本海側では富山県から沖縄県まで見られますが、日本海側よりも太平洋側に多いとされています。
主な生息環境は沿岸の浅い海域で、特に内湾や河口域といった比較的波の穏やかな場所を好みます。
水深が数メートルから数十メートルの岩礁域や砂泥底、堤防、防波堤、テトラポットの隙間などを隠れ家として利用することが多いため、釣り人や磯遊びをする人が遭遇しやすい魚の一つです。
稚魚期には汽水域(淡水と海水が混ざり合う場所)にも進入することが報告されています。
底生生活(海底に生息する生活)を送ること、そして夜行性であることから、日中に生息域に立ち入る際には、オニダルマオコゼと同じように意図せず踏んでしまったり触れてしまったりする危険性があります。
ゴンズイの毒

ゴンズイの背びれ(1本)と胸びれ(左右に1本ずつ、合計2本)の毒の棘が付いており、もしも刺されると有毒成分が分泌されて体内に注入されます。
それだけではなく先端は非常に鋭くなっていて、さらには返しが付いていているため、刺さるとなかなか引き抜くことができずにパニックを起こすような激しい痛みを引き起こします。

ゴンズイの毒棘
引用:https://dailyportalz.jp/kiji/gonzui-sasareta
刺された際の症状としては、電撃が走るような、あるいは焼けるような激しい痛みが生じ、この痛みは非常に強く、長時間(数時間〜半日以上)続くことがあります。
さらに刺された部位は、すぐに赤く腫れ上がり、症状が重い場合には腫れが広範囲に及び、しびれや吐き気などの症状が現れる場合もあります。
ゴンズイの毒は、主にタンパク質で構成されるタンパク質性の毒であるため、60℃以上に熱すると分解されるため、十分に加熱することで毒の心配をせずに調理等することができるようになります。
一方で、ゴンズイが死んでしまったとしても有毒成分は残っているため、打ち上げられたゴンズイを踏んでしまうと激しい痛みに襲われるため非常に危険です。
もしも刺されてしまったら?

刺された際はトゲを抜いてから直ちに傷口を洗ってから毒を絞り出すことで症状を和らげることができることがあります。
また、ゴンズイ毒が熱に弱いタンパク質であるため、45℃〜50℃程度の熱いお湯に火傷しない程度に患部を浸すことで、毒の活性を失わせて痛みを和らげることができます。
ただし、これはあくまで応急処置であり、症状が重い場合には病院での適切な治療が必要です。
ゴンズイは食べられる?

ゴンズイは食べることができる魚です。毒を持つのは背びれと胸びれの棘のみであり、身(筋肉)や内臓に毒はありません。
身は白身で、脂肪分が少なく淡白でありながら、ナマズ類特有の濃厚な旨味を持つとされています。
代表的な調理法としては、唐揚げ、煮付け、味噌汁の具などがあります。鮮度の良いものは刺身で食べられることもありますが、調理の難しさから一般的ではありません。
最も重要かつ危険な作業は、調理を始める前に背びれと胸びれの毒棘を安全かつ確実に除去することです。
棘は非常に鋭く、活きている魚だけでなく、死んだ魚でも毒性を持っています。そのため、棘を扱う際には、厚手のゴム手袋やタオルなどを使用し、刺されないよう細心の注意を払う必要があります。
まとめ
ゴンズイ(Plotosus japonicus)は、日本沿岸の浅い海域に広く生息するナマズ目の海水魚です。
幼魚は「ゴンズイ玉」と呼ばれる球状の群れを作る習性で知られています。この魚の最大の特徴は、背びれと胸びれに強力な毒を持つ鋭い棘を持っていることです。
刺されると、タンパク質毒によってハチに刺されたような激しい痛み、腫れ、炎症を引き起こし、重症な場合にはしびれや吐き気などの症状を伴うこともあります。
この毒は熱に弱いため、応急処置として患部を温めることが推奨されています。ゴンズイの身には毒がなく、棘を安全に除去すれば煮付けや唐揚げなどにして食用にすることができますが、毒棘による刺傷のリスクが非常に高いため、あまり推奨されません。





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