日本でも重大事故が発生しているヤマイモにそっくりな綺麗な植物 グロリオサ

グロリオサ 植物

グロリオサとは?

グロリオサ

グロリオサはイヌサフラン科グロリオサ属に属する植物で、日本でも主に高知県などで観賞用として栽培・販売され親しまれてい存在です。

グロリオサの葉の巻きひげ
Photograph by Krishna satya 333

赤やオレンジ、黄色など色鮮やかで反ったような特徴的な形の花を咲かせるというわかりやすい特徴がある他、葉先が他の植物に絡みつくように巻きひげになっているため高さが3mを超えることもあります。

球根含めて全身に有毒成分が含まれているため食べることはできませんが、過去に国内でも死亡事故が発生しているため注意が必要な植物です。

国内ではグロリオサの別名として、「ユリグルマ」「キツネユリ」などの名称で親しまれています。

ちなみに、グロリオサの一種「G.rothschildiana」はジンバブエの国花に指定されています。

G.rothschildiana(ジンバブエの国花)

分布・生息地

モンスーン気候のインド

熱帯アジア、アフリカ原産の植物で、主に乾期のないモンスーン気候(主な地域は東アジア~インド洋沿岸、アフリカ大陸東部、カリブ海、南北アメリカ大陸東岸)を中心に分布しています。

日本には自生していませんが、初夏から晩秋にかけて開花がみられるため一般家庭でも栽培されるようになりました。

似ている植物

グロリオサの塊根

グロリオサの塊根
引用: https://allabout.co.jp/gm/gc/492382/

グロリオサの花は非常に特徴的で葉も巻きひげとなっているなどわかりやすい見た目をしているため他の花と見間違える可能性は低いですが、球根(塊根)はみんな大好き?なヤマイモやナガイモの塊根とそっくりな見た目をしています。

ただし、地上に生えている部分が枯れている場合には塊根の見分けが付きづらく、ヤマノイモ(ヤマイモやナガイモ等)の収穫時期と同じ時期に採取されることから誤って食べてしまう事例がたびたび起こっています。

また、世界的に主食として食べられているヤムイモとも似ているため、国内だけでなく世界的にも誤食による死亡事故が発生しています。さらに言えば、誤食ではなく意図的に食べさせる事件も発生しているとされています。

ナガイモ

ナガイモ

やまといも

やまといも

ヤムイモ

ヤムイモ

見分け方

ヤマイモは表面がゴツゴツしていいて、ひげ根があり表皮がはがれにくいという特徴があります。また、ヤマイモは比較的簡単に折れ、粘り気があるため糸を引きます。

一方でグロリオサは表面が滑らかでひげ根がなく、表皮がはがれやすいという特徴があります。手で折るには少し力が必要であり、粘り気はないためすりおろした後は大根おろしのようなため正しい知識があれば誤食を防ぐことはそこまで難しくはありません。

グロリオサの毒

グロリオサ

グロリオサには全体に「コルヒチン」というあるアルカロイド系(窒素を含む天然由来の有機化合物)の有毒成分が含まれています。

この有毒成分はリウマチや通風の治療に用いられるため医薬品としても活用されてきましたが、毒性が強いため下痢や嘔吐などの副作用が出ます。

また、塊根にはコルヒチンの他にもグロリオシンという有毒成分が含まれているため、もしも食べてしまうと発熱、嘔吐、下痢、背中の疼痛などの症状が現れて、最悪の場合には臓器の機能不全により死に至る可能性があります。

コルヒチンの致死量は0.8mg/kgと言われており、体重60kgの人で48mg程度で死に至ると言われています。グロリオサのコルヒチン含有量は個体差はありますが、豊富に含まれているため、塊根を数g~数十g摂取すると致死量を超える可能性があり、少しでも誤食してしまうと危険です。

過去の中毒事例

国内でも何件か誤食による事故が発生しているためいくつか紹介していきます。

事例①

直近の事例では2024年12月13日にヤマイモとグロリオサの塊根をすりおろし、卵とじにして食べたところ、下痢、腹痛、吐き気、倦怠感などの症状が現れて入院治療を要した事例が発生しています。

事例②

2020年1月31日に鹿児島県の男性が自宅の畑でグロリオサの塊根を掘り出し、山芋と勘違いして調理して夫婦で食べたところ苦みを感じた妻は吐き出したため問題ありませんでしたが、夫はウコンだったと思いなおし完食したところコルヒチン中毒により2月3日に亡くなりました。

事例③

平成 18 年 8 月下旬に 、 高知市内で男性が自宅に植えてあったヤマノイモとともに誤ってグロリオサをも採取してともに すりおりして 食べ 、 コルヒチン中毒により死亡した。

もしも食べてしまったら?

グロリオサ
まず初めに誤食を避けるために正しい知識を身につけて、食用の植物とグロリオサを見間違えないようにすることが重要です。また、観賞用のグロリオサを植える場合には食用の植物と同じ場所で育てない、植えるために球根を保管する場合には有毒であることがはっきりとわかるようにしておき、小さいお子さんの手の届かない場所に保管しておくなどの対応をしましょう。
そのうえで、他人が採取して調理した料理に手を付けてしまった場合には、異変を感じたらすぐに救急に連絡し病院に行き対症療法を受けましょう。
コルヒチンに対する解毒薬や拮抗薬はないため、胃洗浄を行ったうえで対症療法を実施する形になります。
この時に重要なことは、何を食べたかを把握しておき、原因がグロリオサであることを伝えることが重要です。ヤマイモを食べたことが伝えられればグロリオサが原因であることが伝わる可能性も高いです。

まとめ

グロリオサは熱帯アジアやアフリカを中心に自生している植物ですが、綺麗な花を咲かせるため日本でも観賞用として栽培・販売され親しまれています。
ただし、全草にコルヒチンという有毒成分が含まれているため、球根を含めて食べることはできません。花や葉を見れば間違う可能性は低いですが、塊根だけを見比べると食用として馴染みのあるヤマノイモ(ヤマイモやナガイモ等)とそっくりな見た目をしているため、日本でも誤食による中毒事例がたびたび発生しています。中には死亡事故も発生している注意が必要です。
正しい知識を身につけてきちんと見分けることが出来れば、事故を未然に防ぐことができるため注意しましょう。

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