深刻な皮膚炎や失明を引き起こす世にも恐ろしい巨大な有毒植物 ジャイアント・ホグウィード

ジャイアントホグウィード 植物

ジャイアント・ホグウィードとは?

ジャイアントホグウィードの花
ジャイアント・ホグウィードはセリ科ハナウド属に属する多年草で、非常に恐ろしい毒を持っていることから世界的に有害な植物として知られています。
名前の通り非常に大きく成長し、2.5~5mほどの高さにまで成長します。そのため、近くに咲いている背の低い植物に当たるはずの日光を遮ってしまい枯れさせてしまいます。
その高さをしっかりと支えるため茎の太さは10cmを超えることもよくあり、さらに足元を固めるように大きな葉をたくさん広げます。その幅は1~1.7mにもなります。
ジャイアントホグウィードの茎

ジャイアント・ホグウィードの茎

ジャイアントホグウィードの全体像

ジャイアント・ホグウィードの全体像

春の終わり頃~真夏にかけて、最も高い場所に花を咲かせます。その後、1,500~10万個もの種を付けると冬の訪れとともに枯れてしまい一生を終えます。
このように大量の種を付けるため、群生していることもしばしば確認されています。
日本のハナウド

日本のハナウド

ちなみに、ジャイアント・ホグウィードの和名はバイカルハナウドと呼ばれていて、その仲間で日本にも生息している「ハナウド」にも有毒成分が含まれています。
ジャイアント・ホグウィードほどの強さはありませんが、もしも触ってしまうと火傷のような症状が現れるためむやみに触ってはいけません。

分布・生息地

中央アジア
Photograph by Sergio

コーカサス地方の国
Photograph by Jeroen

原産地はコーカサス地方や中央アジアとされていますが、19世紀にイギリスに観賞用として持ち込まれたことを皮切りに、ヨーロッパやアメリカ、カナダなど世界的に広がっています。特にヨーロッパは非常に広い範囲に分布しているため訪問する際は注意が必要です。
ヒトの手によって持ち込まれたジャイアント・ホグウィードは、鳥などによって広範囲に広がっていて、イギリスでは特に河川の堤防に特に広がっています。

2005年時点のヨーロッパの分布
Photograph by Petr K

カナダやアメリカでも年々広がっており、現在では様々な州で確認されている状況となっており、有害植物として指定している州も少なくありません。
背が高く足元も大きな葉っぱで覆いつくしてしまうため、他の植物の育成を妨げることが多く、その国の在来種にとっては非常に厄介で驚異的な存在となっています。また、在来の植物が排除されてしまうことにより、在来植物に頼ったり共存したりしている動物の生息域が減少するといった影響を与えています。
このように影響が非常に大きいことから侵略的外来生物に指定されています。

ジャイアント・ホグウィードの恐ろしい毒

枯れかけのジャイアントホグウィード
ジャイアント・ホグウィードの持っている毒は直接命に関わることはありませんが、数年~生涯にわたって影響が残り続ける可能性がある非常に恐ろしい毒を持っています。

毒の正体とは?

ジャイアント・ホグウィードの樹液には恐ろしい有毒成分が含まれていて、もしも触れてしまうと恐ろしい症状が現れます。
この有毒成分の正体はジャイアント・ホグウィードの葉、根、茎、花、種など全身に含まれている「フラノクマリン類」という成分です。
フランクマリン類といっても様々な成分があり、どれも毒性を持っていますがその中でも「ベルガプテン」は特に強い光毒性を示すことが知られています。
ベルガプテンの構造図

ベルガプテンの構造図

光毒性(ひかりどくせい)とは、化学物質が皮膚に接触してそこに日光(紫外線)が当たることによって、炎症など皮膚にダメージを与えることを指します。
フラノクマリン類や光毒性にあまり馴染みがないと思う人も多いかもしれませんが、実はグレープフルーツなど一部の柑橘類には光毒性のあるフラノクマリン類が含まれています。

毒による恐ろしい症状とは?

ジャイアント・ホグウィードに含まれるフラノクマリン類の光毒性は非常に強く、もしも樹液に触れてしまった後に日光に当たってしまうと、まず皮膚が赤く腫れあがってかゆみを引き起こします。1~2日以内に大きな水疱が現れて、水泡が落ち着いてもただれたように赤い状態が続きます。
その後、数週間以上経過し赤みが落ち着いたとしても元通りには戻らず、色素沈着により黒や紫、茶色になり数年以上跡が残ります。
また、もしも樹液が少量でも眼に入ってしまうと一時的もしくは一生涯失明してしまう危険性があります。

症状を引き起こす理由

DNA
このような恐ろしい症状が現れる理由は、フラノクマリン類の恐ろしい性質にあります。
フラノクマリン類の有毒成分は皮膚に付着すると皮膚細胞の内部に侵入します。この状態で日光(紫外線)にあたると、そのエネルギーを使って細胞内のDNAに影響を与えて、細胞を死に追いやります。
これは眼に入った場合でも同様で眼の細胞を死に追いやってしまうため、細胞が大量に破壊されてしまうと失明につながってしまいます。

もしも触れてしまったら?

手洗い
フラノクマリン類の毒性は紫外線を受けることで初めて効果を発揮するため、もしも樹液に触れてしまったとしても紫外線に当たらなければ被害が抑えることが出来ます。
ただし、皮膚に触れただけで細胞内には侵入してしまうため、ふき取ったり洗ったりしても安心するのは危険です。
対処方法としては、触れてしまった部分を洗剤(石鹸)と水で入念に洗って、その部分を日光や紫外線などに触れないように数日間しっかりと保護することが重要です。また、被害が大きくなることを考えて必ず医療機関を受診することが推奨されています。

そもそも触れないように注意

防護服
ジャイアント・ホグウィードが確認されている各国の行政機関は、ジャイアント・ホグウィードに子供が近づかないように注意を促しています。
また、もしも除去するために掘り返したり触れる可能性がある場合は、防護服と防護メガネを着用し、樹液などに触れないよう注意喚起しています。
日本では心配する必要はないと考える人もいるかもしれませんが、ハナウドなどジャイアント・ホグウィードの仲間は日本にもいるため、他人事とは考えずに注意しましょう。

まとめ

ジャイアント・ホグウィードは強力な光毒性を示すフラノクマリン類が含まれるハナウド属の有毒植物です。
全身にフラノクマリン類が含まれているため、樹液などに触れてしまった後に日光(紫外線)に触れてしまうと、重篤な皮膚炎を引き起こし、眼に入った場合には一時的か永久的に失明する可能性があるほど危険です。
原産地である中央アジア周辺とヨーロッパ各地に分布しています。これは、19世紀にイギリスに持ち込まれた後に鳥などによって広範囲に分布を広げたためです。ヨーロッパ以外にもアメリカやカナダなどでも今なお分布を広げています。
ジャイアント・ホグウィードが分布している地域に行く際には十分に注意しましょう。また、日本国内にもジャイアント・ホグウィードの仲間であるハナウドなどの有毒植物があるので注意しましょう。

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