メスだけで繁殖可能!?日本に生息する猛毒サソリ ヤエヤマサソリ

樹皮の上にいるヤエヤマサソリ 地上の生き物
Photograph by と。

ヤエヤマサソリとは?

葉の上にいるヤエヤマサソリ

ヤエヤマサソリはサソリ目オボソサソリ科に属するサソリで日本に生息する2種類のサソリのうちの1種で、別名ミナミアジアナメラカハサミサソリとも呼ばれています。

大きさは20㎜程度の小型のサソリですが、大型の個体でも30mmを超える場合もあります。小さいだけではなく体がとっても薄くて探さないと見つけられないような形態をしています。

体の色は茶褐色暗褐色でハサミ(触肢)は褐色や黒っぽく濃い色になっている個体もいます。

尾(中体、終体)は細く尾の先端にある毒針は下方向に曲がっていて先端は鋭く尖っています。ただ、固いものを突きさすほどの威力はありません。

分布・生息環境

名前にもある通り、沖縄県の八重山諸島に分布しています。ヤエヤマサソリという名前から日本固有種だと思ってしまうかもしれませんが、ミナミアジアナメラカハサミサソリという別名の通り、東アジア、南アジア、東南アジア、ポリネシア、オセアニアにかけて広く分布しています。

ちなみに、八重山諸島(八重山列島)は石垣島、竹富島、小浜島、黒島、新城島、西表島、鳩間島、波照間島、与那国島などを指していて、これらの複数の島から見つかっています。
ヤエヤマサソリは小さいため、荷物にくっついて沖縄本島でも見つかったことがあるようです。

普段は倒木や立ち枯れの木の樹皮の下や落ち葉の下などに生息しているので見つけたいときは足元を注意深く見てみましょう。

ヤエヤマサソリの毒性

横から見たヤエヤマサソリ

Photograph by Mark Marathon

毒の成分・効果

サソリには毒を持つ種類が多いですが、ヤエヤマサソリも例外なく毒を持っています。ただし、ヒトやマウスに対して有効な毒ではなく、昆虫に対して特異的に作用する全く新しい毒が複数見つかっています。

小さく持っている毒の量も少ないため、研究には苦労もあったようですが、近年の研究で作用が明らかになってきており、今後新しい殺虫剤への応用などが期待されています。

ちなみに、人の皮膚を貫けるほどの針は持っていないため、そもそも刺されたという事例がほとんどなく、刺されても軽く痛みを感じる程度という情報もあります。

サソリは天敵に対して身を守るために毒を使うことも多いですが、ヤエヤマサソリは獲物を確実に仕留めて食べるために毒を使っています。

単為生殖ができる数少ない生物!

ヤエヤマサソリの単為生殖のイメージ

ヤエヤマサソリはなんとメスがいれば増える(殖える)ことができます。生まれてくる子供はすべてメスのため雌性産生単為生殖と呼ばれる単為生殖が確認されていて、日本でも研究の中で5代目まで得ることに成功しています。

なんと日本ではメスしか確認されておらず、オスはオーストラリアとパプアニューギニアとタイのみでしか発見されていません。

通常の有性生殖も一部の地域においては行われていると考えられていますが、オスがほとんど見つかっていないためか実際に確認されていないようです。もしご存じの方がいればコメントをお願いします!

単為生殖をおこなう他の生き物

道路を歩くシチメンチョウ

単為生殖が確認されているシチメンチョウ

無脊椎動物では単為生殖することも比較的多く、ミツバチ、スズメバチ、アリ、アブラムシ、ミジンコなどで確認されています。ただし、サソリの中で単為生殖することが確認されている種はほとんどなく、珍しい特徴持っていることは間違いありません

ちなみに脊椎動物で単為生殖をおこなう生物は珍しく、80種程度しか確認されていません。確認されている中にはアミメニシキヘビなどの飼育下のヘビや、コモドオオトカゲ、シチメンチョウなどの鳥、サメなどで確認されています。

まとめ

ヤエヤマサソリは日本に生息するサソリの1種で、体長2,3cmと小型です。日本以外にもアジアやオセアニアなど広く分布していて、日本固有種というわけではありません。

持っている毒は昆虫に対して特異的に作用する新しい物質のため、将来、新しい殺虫剤への応用に期待されています。

人間に対しては針を突きさすことはほぼできず、毒も全然効果を発揮しないため無害と考えていいでしょう。

雌性産生単為生殖をおこなう珍しい生物で、日本ではメスしか発見されておらずオスは海外の一部の地域でしか見つかっていません。

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