ドクゼリとは?

Photograph by Susanne Primdahl
ドクゼリはセリ科ドクゼリ属に属する日本三大有毒植物の一つとされている植物です。毒を持っていてセリに多少似ているためドクゼリ名づけられましたが、別名オオゼリとも呼ばれています。
日本三大有毒植物については以下のページで詳しく紹介しています。
[ドクウツギは準備中です]
大型で高さは90~100cmほどになり、茎は中心が空洞で比較的高い位置から枝分かれして葉を付けます。また、地上には出てこない茎「根茎」は竹のように節があり場合によってはワサビのようにも見えます。
葉の長さは3~8cmほど、幅は0.5~2cmほどと細長い形をしていて、縁はギザギザしています。

花

葉

根茎
6~8月頃になると先端に白=淡い桃色の小花をたくさんつけた後2.5mmほどの果実をたくさんつけます。3月頃になると発芽しセリなど他の山菜に混ざって収穫され中毒事故を引き起こしています。
分布・生息地

Photograph by Tina Ellegaard Poulsen
ドクゼリはユーラシア大陸に広く分布している植物で、日本では北海道、本州、四国、九州と全国各地に生息しています。
水辺や湿原で生育する多年草の抽水性の植物です。抽水性の植物は水中の底に根を張って茎の一部が水中に入っている植物で、ドクゼリやセリ以外にはガマなども含まれます。
セリと生育環境が同じということもあり、誤食を引き起こしやすくなっているため、特徴の違いを十分い理解しておく必要があります。
似ている山菜と見分け方
春先によく食べられる山菜と似ていることから定期的に誤食による中毒事例が報告されています。
そこで似ている山菜と過去に勘違いされてしまった植物をいくつか紹介していきます。
セリ
- セリ
- セリの花
- 水辺のセリ
高さ20~80cm程度とドクゼリと比べて少し背が低く、葉はドクゼリと比べて短めで丸みを帯びています。
また、葉にはセリ特有の強い香りがあるため、特有の香りがないドクゼリとは香りを嗅ぐことで比較的簡単に見分けることができます。
ドクゼリの根元を見るとタケノコのような形をした根茎がありますが、セリの根茎は細いためある程度成長したドクゼリは根元を見ても判断することができます。
セリ(可食) | ドクゼリ(毒) | |
背丈 | 低め | 高い |
葉 | 丸め | 細長い |
香り | 特有の香りあり | なし |
根茎 | 細い | 太い |
ドクゼリモドキ
- ドクゼリモドキの葉
- ドクゼリモドキの花
セリ科ドクゼリモドキ属に属する、地中海沿岸~西アジア原産の植物でレースフラワーという名前でも呼ばれています。
花や葉などドクゼリに似た見た目をしているため、ドクゼリモドキという名前が付けられましたが、実は毒を持っていません。
葉が細長くセリとは似ていないため、間違って食べてしまう心配は少ないでしょう。
ワサビ
- 育成中のワサビ
- ワサビ
言わずと知れたワサビですが、過去にはドクゼリの根茎とワサビを間違えて食べてしまい中毒を起こした事例が報告されています。
ワサビはアブラナ科ワサビ属に分類されているようにドクゼリとは全く系統が異なり、葉の形や香りも全く違うため正しい知識を身につけていれば誤食してしまう可能性はかなり低くできます。
ドクゼリの毒

ドクゼリは全身に有毒成分であるシクトキシン、ビロール、シクチンといった猛毒成分が含まれています。
そのため、もしも食べてしまうと嘔吐、下痢、眩暈、動悸、意識障害、痙攣などの症状が現れ、摂取量が多い場合には呼吸困難などにより死に至ります。

シクトキシンの構造図
シクトキシンは、中枢神経である延髄と中脳を刺激して関節が動かなくなるような強直性の痙攣や、頻脈、呼吸困難などを引き起こします。

ヒトの中枢神経
ヒトの致死量は50mg/kgと考えられていて、5g程度食べてしまうと死に至る危険性があると考えられています。
恐ろしいことにこの毒は皮膚からも吸収されるため、セリと香りで見分ける際に葉を揉むときは手袋や軍手をするなど気を使う必要があります。
中毒事例
根茎から出る汁にも有毒成分が含まれていて、皮膚から有毒成分が吸収されますが、これをかゆみ止めとして使用したところ死亡したという事例が報告されているようです。
次の事例では、 4 月末に青森県で山菜と思い採取したドクゼリをお浸しにして食べた男性が午前 1 時頃に脱力感と手足のしびれを感じ嘔吐したという事例も報告されています。幸いこの男性は一命を取り留めました。
最後の事例として、 4 月下旬に宮城県の企業の職員食堂で、昼食時にワサビと間違えて採取したドクゼリをすりおろしてご飯にふりかけ食べたところ、午後 2 時頃から 36 人が痙攣などの食中毒症状を起こしました。入院した 12 人のうち重体 1 名を含む 4名 が集中治療を受けたという事例も報告されています。
もしも食べてしまったら?

食べてしまったときの致死率は30~50%と言われるほど強力なため、もしも野草や山菜、ワサビらしきものを食べた後に異変を感じたらすぐに医療機関を受診するようにしましょう。
その際に何を食べたのか分かると対処が早急に行えるため、すぐに伝えることが重要です。
呼吸困難による対処法としては気道確保や場合によっては人工呼吸が対策となるとされており、痙攣には結構作用のある薬品を投与することで症状を軽減させるようです。
まとめ
ドクゼリはセリ科ドクゼリ属に属する日本三大有毒植物の一つで、非常に強力な有毒成分であるシクトキシンなどを含んでいるため死亡事故も発生しています。
名前の通りセリに似ていていて、特に春先に採取されるセリに似ていることから誤食による中毒事故をたびたび起こしています。
セリ特有の香りがドクゼリにはないことから、香りをしっかり嗅ぐことで誤食してしまうリスクを抑えることが出来ます。また、根茎がワサビに似ていることから誤食してしまった事例も報告されています。
春の山菜採りは楽しいしおいしいですが、中毒事故を起こさないように十分に注意しましょう。
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