実は毒がある梅雨に鮮やかな花を咲かせる植物 アジサイ

青いアジサイ 植物

アジサイ(紫陽花)とは?

鮮やかなアジサイ
アジサイはアジサイ科アジサイ属に属する植物全体を指すこともあれば、特定の品種であるホンアジサイのことをアジサイと呼ぶこともあります。
アジサイは5~7月頃に青、紫、白、ピンクなど鮮やかな花を咲かせる高さは1~2mほどの低木で、公園や寺、神社、庭木など様々な場所に植栽されている身近な植物です。
そんなアジサイですが、実は有毒成分が含まれているという特徴があり、過去には日本でも中毒事例が報告されています。
ちなみに、蒴果(さくか)と呼ばれる果実をつけますが、果実をつけることは稀なため基本的には梅雨の時期に挿し木で繁殖させています。
ホンアジサイやセイヨウアジサイなど色々な名前を耳にしたことがあると思いますが、実はこれらのアジサイはガクアジサイという種を園芸用に品種改良したものです。
セイヨウアジサイ

セイヨウアジサイ

ガクアジサイ

ガクアジサイ

この原種であるガクアジサイは日本と火山列島に自生している植物で、その他の地域は観賞用として品種改良のために持ち込まれたものです。アジサイを漢字で書くと「紫陽花」と当て字になっていることからも日本じゃないイメージを持っている人も多いかもしれませんが、日本原産の植物の一つなんです。

この紫陽花という漢字は、唐の詩人である白居易が別の花(おそらくライラック)にあてた漢字とされていますが、それを平安時代の学者である源順が誤ってアジサイにあててしまい広まってしまったと言われています。
ちなみに、アジサイを数える時は○朶(だ)と数えます。

分布・生息地

日本にはホンアジサイの原種であるガクアジサイが分布していますが、その他の種のアジサイも多数自生していて2010年時点で14種、1亜種、6変種が確認されています。
ただし、アジサイの分類はあまり明確ではなく文献によって分類が異なることもあります。
庭や公園などに植栽されていることがほとんどですが、海沿いの林などにも自生していて、房総半島や伊豆半島、伊豆諸島の沿岸に分布していることが確認されています。

花の色は土壌のpHで決まる

色とりどりのアジサイ

同じ種類のアジサイでも花の色がだったりだったりしたのを見たことがあると思いますが、これには土壌のpH(酸性度)が関係していることがわかっています。
一般的にアジサイ「酸性だと、アルカリ性だとになると言われています。小中学校の理科でつかったリトマス試験紙「酸性だと、アルカリ性だとになるのでアジサイとリトマス試験紙の結果は反対になってます。
これは、土壌に含まれるアルミニウムが酸性土壌だとイオン化してアジサイに吸収されるため青くなります。逆に中性やアルカリ性だとアルミニウムがイオン化しにくくあまり吸収されないため赤くなります。
栽培しているアジサイの花を青くしたい場合には、酸性の肥料やアルミニウムを含むミョウバンを与えてあげることが有効です。

アジサイの毒

ガクアジサイ
アジサイには有毒成分が含まれており、もしも食べてしまうと食後30~40分後に吐き気、めまい、顔面紅潮などの症状が現れます。
もともとアジサイが食用ではないことから大量摂取する機会も少なく人の死亡事例は今のところ確認できていませんが、ウシや馬、ヤギなどがアジサイを食べてしまい、過呼吸、痙攣、麻痺などの症状が現れ死亡してしまう事故が起きています。
アジサイに有毒成分が含まれていることは古くから知られていましたが、実は現在もどの成分が原因で中毒症状を引き起こすのかははっきりしていません。
以前は青酸配糖体(シアン化物)が含まれていて、これが原因だと考えられていましたが、1963年に誤りであることがわかりました。誤りが報告されるまで半世紀ほどかかったため青酸配糖体が含まれているという説が定着してしまい、今も誤った情報が掲載されていることもあるので注意しましょう。
その後の研究で、青酸配糖体が含まれているアジサイがあることも分かりましたが、必ず含まれているわけではなく品種や種類によっても量が異なっているとされています。
また、フェブリフギンという成分がアジサイに含まれていることがわかりましたが、この成分が原因で中毒症状が現れるかはわかっていません。
フェブリフギンの構造図

フェブリフギンの構造図

事故事例

重大事故には至っていませんが、過去に日本でもアジサイの葉を食べてしまったことによる中毒事例が2件報告されています。
この原因として、飾り付け用にアジサイが市場に流通してしまっているという背景があります。中毒事例を起こさないためにも料理を提供する側はアジサイを使わないように注意する必要があります。
市販されてるアジサイ

引用:https://www.pref.tottori.lg.jp/88521.htm

市販されてるアジサイ

引用:https://www.pref.tottori.lg.jp/88521.htm

市販されてるアジサイ

引用:https://www.pref.tottori.lg.jp/88521.htm

 症例1

2008 年 6 月 13 日、茨城県つくば市の飲食店で、料理に添えられていたアジサイの葉を食べた 10 人のうち 8 人が、食後 30 分から吐き気・めまいなどの症状を訴えた。
引用:厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082116.html

症例2

2008 年 6 月 26 日、大阪市の居酒屋で、男性一名が、だし巻き卵の下に敷かれていたアジサイの葉を食べ、 40 分後に嘔吐や顔面紅潮などの中毒症状を起こした。いずれも重篤には至らず、 2 ~ 3 日以内に全員回復した。
引用:厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082116.html

中毒を防ぐためには?

葉の上にエビが乗った料理
アジサイの毒は明らかになっていませんが、食べてしまうことで中毒症状が現れるため食べさえしなければ心配する必要はありません。
そのため、飾り付け用として販売されているアジサイをきちんと見分けて食べないようにしたり、小さい子やペットがアジサイを口に含んだりしないように注意することで中毒を防ぐことができます。
アジサイの葉の特徴として、形が卵形もしくは楕円形をしていて、表面に毛はなく光沢があり、裏面は葉脈状に産毛が生えており光沢はありません。また、縁に鋸歯が明確にあることも特徴の一つです。
写真をいくつか載せるのでこれに似た葉を見つけたら口に入れないようにしましょう。

アジサイの葉

アジサイの葉

アジサイの葉

もしも食べてしまっても2,3日で後遺症もなく回復するようですが、もしも摂取しすぎてしまったり症状が重いと感じたら病院に行くようにしましょう。

まとめ

アジサイは日本各地で見られる身近な植物で、梅雨の時期にきれいな花を咲かせることから俳句などにもよく用いられる馴染みのある存在です。
有毒成分は明らかになっていませんが、古くから食べてしまうと中毒症状が現れることが知られていています。料理の飾り付けようとして販売されていることもあるため、過去に日本でも誤って食べてしまい中毒症状が現れた事例があります。
食用ではないので口にする可能性は低いですが、小さい子供やペットが口にしないように注意しましょう。
ちなみに、漢字で紫陽花と書きますが、実は原種のガクアジサイは日本原産の植物で、漢字は恐らくライラックにつけた漢字を誤ってアジサイに当てはめてしまったと言われています。

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