年間1400万人以上を刺す超危険な特定外来生物の猛毒アリ ヒアリ

ヒアリ 地上の生き物

ヒアリとは?

色々なサイズのヒアリ
ヒアリは一時ニュースでも頻繁に取り上げられていた南米原産の特定外来生物で、猛毒を持ったアリ科フシアリ属に属するアリです。
ウシガエルやコイなどと同じく「世界の侵略的外来種ワースト100」に指定されているだけでなく、2022年5月に外来生物法が改正されて追加された「要緊急対処特定外来生物」にも指定されています。
ヒアリ

ヒアリの働きアリ

体色は赤茶色や赤褐色で働きアリは大きさや見た目に多少のばらつきがあり、体長は2.5~6mm程度になります。女王アリは7~8mm程度で羽が生えていますが、交尾後は羽を落とします。オスアリは5~6mm程度で黒っぽい色で羽があり巣立った後は数日で寿命を迎えます。

見た目の特徴としては、赤っぽくツヤツヤしていて、お尻(腹部)は暗めの色になっていて、腹部と胸部の間に2つのコブがあります。
お尻の先端には毒針があり、大きな顎で対象にかみついた後に何度も毒針を突き刺します。
ヒアリのアリ塚

ヒアリのアリ塚
Photograph by Eric Schmidt

ヒアリはアリ塚をつくるという性質がありますが、在来種のアリは地面に穴を掘って巣をつくるので、もしアリ塚が見つかるような事態になるとヒアリが大繁殖しているため大変なことになります。

人に対してだけでなく牛や馬、豚など様々な家畜、犬や猫などのペットなどにも積極的に攻撃するため、ヒアリが定着してしまっている海外ではものすごい経済損失を与えています。
日本に定着してしまうと約438億円にも上る経済損失を与えるという試算もあります。

ヒアリに似ているアリ

ヒアリに見た目が似ている日本に生息している生き物も多数生息しています。間違って通報をされることも多い生き物をいくつか紹介していきます。
ただし、ヒアリの仲間である「アカカミアリ」も要緊急対処特定外来生物に指定されている通報すべきアリです。

キイロシリアゲアリ

キイロシリアゲアリ

Photograph by Sus scrofa

アリグモ類

アリグモ

ヒメアリ

ヒメアリ

Photograph by Sus scrofa

オオズアリ

オオズアリ

Photograph by Sus scrofa

ハリブトシリアゲアリ

ハリブトシリアゲアリ

Photograph by Sus scrofa

分布と日本の確認地

ヒアリは南米中部原産ですが、船や飛行機に積まれた貨物やコンテナに紛れ込むことで暖かい地域に分布を広げています。1940年代ごろからアメリカやカリブ諸島に侵入し、2000年代にはオーストラリアやニュージーランド、中国、台湾などでも発見されるようになりました。ニュージーランドでは初期対応がうまくいき根絶が宣言されています。
2024年7月確認時点のヒアリ確認地

2024年7月確認時点のヒアリ確認地

日本では2017年に5、6月に中国から神戸港に貨物船で運ばれたコンテナの中から発見され、その後2024年7月時点までに18都道府県で確認されています。

今のところ定着は確認されていませんが、貨物に交じって全国各地に運ばれている可能性もあります。ヒアリは公園や芝生、水辺、畑など日当たりのいい場所にアリ塚をつくることが確認されています。
一度定着してしまうと根絶することが困難なため、ヒアリを見つけられる探知犬やヒアリに寄生する菌、ヒアリを乗っ取る寄生アリなどの活用、研究が進められています。

ヒアリの毒とは?

手に乗ったヒアリ
お尻にある毒針を相手に突き刺して毒液を注入しますが、毒液の主な成分は「ピペリジンアルカロイド」で複数の成分が含まれています。
もしも刺されると熱いと感じるような激しい痛みやかゆみが現れ、膿んだような腫れも見られます。さらに症状が重い場合には蕁麻疹や息苦しさ、眩暈、激しい動機などが現れます。また、アナフィラキシーショックを起こすことも知られており、すぐに治療しないと死に至る危険性もあります。
毒液に微量ながら46種類程度のタンパク質も含まれていることが分かっており、また、ハチ毒と共通の成分が含まれていることからハチ毒のアレルギーがある人は1回刺されただけでもアナフィラキシーショックを引き起こす可能性があるため注意が必要です。

もしも刺されたら?

20~30分程度安静にして体調の変化に注意を払います。もしも容体が悪く重度な場合には緊急通報しすぐに医者に診てもらうとともに、「アリに刺されたこと」「アナフィラキシーの疑い」を伝えることが重要です。

在来アリ VS ヒアリ

クロオオアリの喧嘩
ヒアリはその攻撃性から在来種のアリは多数のヒアリには対抗することが出来ませんが、女王アリが1匹でいる場合は集団で立ち向かって倒している可能性があるという主張もあります。
また、日本全国どこでも見られるクロオオアリが分泌するフェロモンに含まれる「(Z)-9-トリコセン」はヒアリやアルゼンチンアリなどの外来種に対して忌避作用があることが確認されています。
人もヒアリが日本に定着しないよう徹底した対策を行っていますが、人以外の在来生物などもヒアリが定着しないように一役買っているのかもしれません。

まとめ

ヒアリは南米原産の毒を持った特定外来生物です。飛行機や輸送船に乗ってアメリカやオーストラリア、中国、台湾などに分布を広げており、日本でも100事例近く発見が報告されています。
もしも刺されると激しい痛みや症状が重い場合には蕁麻疹、呼吸困難などを引き起こし、場合によってはアナフィラキシーショックにより命に関わることもあります。
もしも見つけた場合はむやみに近づかず報告するようにしましょう。ただし、似ている生き物もいるので安全が確認できる場合にはきちんと確認してから報告するのが望ましいです。
定着させないようにこれからも意識し続けて根絶を目指すことが重要です。

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