ジャガイモとは?
ポテトチップスやポテトフライでお馴染みのナス科ナス属に属する植物で、別名「馬鈴薯(ばれいしょ)」とも呼ばれます。
南アメリカのアンデス山脈原産ですが、でんぷんが豊富でビタミンCやカリウムなども多く含まれていて、揚げる、蒸す、茹でる、煮込むなど様々な調理方法で調理することができること、さらに保存がきくこと、地中で育つため鳥害を受けにくいこと、寒冷地でも育つ品種があること、歴史的に飢餓対策として栽培が奨励されてきたことなどを理由に、世界中で広く栽培されています。
ジャガイモは高さ50cm~1mほどの高さに成長し、花が咲く晩春頃に芋ができ始めます。芋のなる数は10個前後(約5~20個程度)取れますが、収穫量は重さで大体決まっているので、例えば1kg程度の場合は100g×10個だったり200g×5個だったりと1個が重くなれば数は減ります。
同じナス属に属するトマトやナスと同じような花を咲かせ、成熟するとミニトマトと同じような大きさで赤く色づく果実を実らせます。ただし、落果しやすいため完熟することは稀です。
この果実の中に入っている種はそれぞれ遺伝子が異なるため種から育てても品質が安定しないこと、種から育てたジャガイモは大きさが小さく、同じ大きさに育つまで約3年かかることから基本的にはジャガイモの芋を植えて増やしています。
ちなみに、品種改良を行う際はこの種から育てる方法を使っています。
ジャガイモの栄養素
ジャガイモのエネルギーは実は炊いたお米の半分程度と低カロリーですが、栄養価が高く健康に良い食品とされています。
ビタミンB1, B2, Cなどのビタミンやカリウムが豊富に含まれています。分解されやすいビタミンCが特に豊富で、しかもでんぷんに包まれているため熱しても分解されにくく、長期保存してもあまり失われないという特徴があります。
含まれるビタミンCはリンゴの約9倍で温州みかんと同程度とされていることもあり、フランスでは「大地のリンゴ(pomme de terre:ポム・ド・テール)」と呼ばれることもあります。また、オランダやドイツでも同じように表現されています。
他にも、食物繊維が豊富なため便秘解消や大腸がんの予防、動物性たんぱく質を減らす効果があるため尿酸値の増加抑制などの効果も期待されています。
ただし、ポテトチップスやフライドポテトなどの揚げる調理方法ではあまり健康的とは言えないので、煮る、蒸す、焼くなどの調理方法が健康的にはいいと言われています。
ジャガイモの毒
栄養豊富な反面、ジャガイモにはソラニンやチャコニンなど「ポテトグリコアルカロイド(PGA)」と総称される天然毒素が含まれているため、含有量が多い部位やジャガイモを食べてしまうと中毒症状が現れます。
含有量は品種や大きさにもよりますが、日光に当たって緑色になったジャガイモの皮、芽、果実、茎に多く含まれていると言われています。
このポテトグリコアルカロイドは加熱してもあまり分解されないため料理しても中毒を起こすリスクがあります。もしも食べてしまうとめまい、吐き気、下痢、食欲減衰などの症状を引き起こします。ただし、水に溶ける性質があるため茹でたり水にさらすことで多少取り除くことが出来ます。
主要な有毒成分であるソラニンにより中毒を起こす量は約200~400mgと言われています。ジャガイモには100gあたり皮に約50mg、芋自体約15mg程度含まれているとされているため、1kg以上食べても中毒を起こす可能性は低いです。
ただし、家庭菜園などで育った小さいジャガイモや未熟なものは含有量が多いとされており、100gあたり皮には約70mg、芋に30~90mg含まれているので多量に食べるのは危険です。
毒性はそこまで高くないものの、小さいお子さんは20~40mg程度でも中毒を起こす危険性があるため、品種や大きさによっては中毒を起こし、重篤な場合には死に至る危険性もゼロではありません。
中毒症状を防ぐために
ジャガイモを食べる時には以下の点に注意することで中毒を起こすリスクを低減できます。
- 小さいジャガイモは避けて大きめのジャガイモを使う
- 芽を取り除く
- 直射日光を避けて日陰に保存する
- 皮をむく、緑になっているものは厚めにむく
- 切ったときに水にさらす
- 小児が食べる際は特に注意する
中毒を起こしてしまったら?
大抵は自然に治癒しますが、小さい子供や症状が現れ始めたときに食べすぎたと心当たりがある人はすぐに病院に行きましょう。
胃洗浄や下剤によりいち早く体内のジャガイモを取り除くとともに対症療法を行い、解毒剤などは用いないことが多いようです。
まとめ
ジャガイモは世界各地で生産されている最も身近な野菜の一つで、栄養価も高く広く親しまれています。その一方でソラニンやチャコニンなどの有毒成分が含まれているため、含有量の多い部分をたくさん食べてしまうと中毒を起こすことがあります。
市販品の場合、有毒成分が含まれている場所は明確になっているので、調理方法や下処理などに気を使うことで中毒のリスクを下げることが出来ます。
ただし、小さいお子さんは成人に比べて少量でも中毒を起こす可能性が高いため、十分に注意して食べる(食べさせる)ようにしましょう。
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