日本でよく見かけるツツジにはオオムラサキツツジやヤマツツジなどがありますが、小学生の頃にツツジの花の取って蜜を吸ったことがある人も多いと思います。
実はツツジには有毒成分を含む種類が多いので、この蜜を吸うのはとっても危険です。日本に群生しているレンゲツツジは特に有毒成分を多く含んでいます。
今回はレンゲツツジについて詳しく紹介していきます。
レンゲツツジとは?
レンゲツツジはツツジの中でも特に有毒成分を多く含んでいるツツジの一種です。
花の付き方が蓮華のように輪っかになることからレンゲツツジと名付けられましたが、「ウマツツジ」や「ベコツツジ」といった別名もあります。
花はヤマツツジのような朱色ですが、黄色い花をつけるキレンゲツツジという種類もあります。いずれも有毒成分を多く含みますが、園芸用や庭木としても使われています。ちなみに、超猛毒のアコニチンを含むトリカブトにも園芸用の品種があります。
高さ1、2mほどの高さになる低木で、4~6月頃に綺麗な朱色や橙色の花を咲かせます。秋には紅葉し葉っぱの色が黄色から赤色になり目立つようになり、10~11月頃には実を付けます。
分布・生息地
日本にも幅広く分布していて南は九州から北は北海道南西部まで、本州、四国を含めて様々な場所で見ることが出来ます。
高原や日当たりのよい草原、湿地などに群生することが多いので街中で見かけることはあまりありませんが、園芸用として植えられていることもあるので注意が必要です。
有毒成分は人だけでなく馬や牛などの動物にも有毒なため食べることはありません。そのため、牧場などに生えていると食べ残されてしまい、その数を増やすため牧場が群生地になっていることもあります。
日本の群生地
- 山梨県三窪高原(約10万株)
- 湯の丸レンゲツツジ群落(長野県と群馬県の県境にある湯の丸高原、地蔵峠周辺)(約60万株)
- 栃木県矢板市 八方ヶ原高原(約20万株)
日本でよく見るツツジ
ヤマツツジ
サツキ
キリシマツツジ
リュウキュウツツジ
セイヨウツツジ(アザレア)
オオムラサキツツジ
レンゲツツジの毒性
レンゲツツジには花や蜜、葉、木など全体に「グラヤノトキシン(アセボトキシン、アンドロメドトキシン)」「ロドジャポニン」などの痙攣毒が含まれています。また、根皮に「スパラソール」といった有毒成分も含まれています。
もしも大量に摂取してしまうと、嘔吐、下痢、痙攣などの症状が現れます。また、血圧を下げる効果があります。
痙攣毒と呼ばれるように骨格筋や心筋の収縮を強めてしまう効果があるため、症状が重い場合には運動麻痺、呼吸困難、四肢痙攣などが起き、最悪の場合には呼吸停止などの症状が現れて死に至る危険性があります。
致死量
グラヤノトキシンには1,2,3と3つに分けられていますが、それぞれの致死量は以下の通りです。
- グラヤノトキシン1:LD50 (腹腔投与/マウス1.31mg/kg)
- グラヤノトキシン2:LD50: 26.1 mg/kg
- グラヤノトキシン3:LD50: 0.84 mg/kg
ちなみに、最小致死量はウサギ,ネコに対し,0.35mg/kg(皮下注 射),0.18mg/kg(静脈注射)です。
毒入りハチミツは嗜好品!?
グラヤノトキシンを含むネパール産(一部トルコ産)のハチミツはマッドハニーと呼ばれ高値で取引されています。グラヤノトキシンは少量の摂取であれば向精神作用によるふわふわした気分になることから嗜好品として一部の人で楽しまれています。
スプーン1,2杯であれば危険性は低いようですが、たくさん摂取してしまうと嘔吐や運動障害などの症状が現れ、中には幻覚症状が現れたという事例もあります。
このマッドハニーをたくさん食べてしまったヒグマの子ぐまがキマってしまい(泥酔に近い状態になり)病院で治療を受けたという事例もあります。
中々日本では手に入れにくく危険性もあるため、マッドハニーを食べる際には十分に注意しましょう。
まとめ
レンゲツツジは日本でも見られる有毒成分を多く含むツツジの一種です。高原や牧場などで見られますが園芸用の品種もあるため、ツツジの花の蜜を吸う行為は危険なのでやめましょう。
有毒成分のグラヤノトキシンはマウスに対しては青酸カリ以上の毒性を示すほどの猛毒です。レンゲツツジの花を少し数程度ではすぐに症状は出ないと考えられますが、子供などにとっては非常に危険です。
このグラヤノトキシン入りのハチミツはマッドハニーと呼ばれ、少量であれば向精神作用があるため一部の人でひそかな人気を集めています。ただしかなり高く入手難易度は高いのが実情です。
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