復興の象徴だけどキャンプやBBQを地獄に変える猛毒植物 キョウチクトウ

キョウチクトウの綺麗なピンク色の花 植物

キョウチクトウ(夾竹桃)とは?

夾竹桃の全体写真

キョウチクトウ科キョウチクトウ属に属するインド原産の猛毒を持った常緑樹です。日本では6月〜9月、10月頃までピンクや黄色、白など鮮やかな花を咲かせます。夾竹桃という名前は葉が竹の葉に似ていて、花が桃の花に似ていることから夾竹桃と名付けられています。

暑さや乾燥、大気汚染など厳しい環境でも成長できるくらい生命力が強く、原爆により70年あるいは75年は草木も生えないと言われた焦土でいち早く花を咲かせました。復興の象徴とも言われており広島市の市花になっています。

耐環境性に優れているため交通量の多い街路樹などとして植えられています。猛毒を持ってるのに植えて大丈夫なの?と思うかもしれませんが、日本では花粉を運ぶ存在がいないため、自然に分布が広がる可能性はほとんどないので心配はありません。日本に植えられているキョウチクトウのほとんどが挿し木で繁殖させたクローン個体となっています。

ただし、全身に猛毒が含まれているキョウチクトウを誤って使ってしまったことで海外では死亡事故も発生しているので事故事例や危険性などについて紹介していきます。

形態・特徴

部分的に見れば竹や桃など多少似ている植物もありますが、全体を見れば似ている植物はないので特徴さえ抑えておけば事故を起こすような危険はほとんどなくなります。

株立ち

鉢植えに植えられた株立ちする樹木

株立ちの例

高さ3m程度の低木で生え方は「株立ち」という、根本から複数本に分かれて立ち上がる形をしています。

そのため太い幹はなく複数の細めの枝が寄り集まったような見た目をしています。

株立ちする主な植物にはカツラやヤマボウシなどがあります。カツラのように太い幹が連なる木もあります。

三輪生

夾竹桃の葉

三輪生の例

それから葉っぱは竹の葉っぱのように細長く、「三輪生」という一節に3枚の葉が車輪状につく形で生えます。

葉は竹や笹に少し似ていますが、葉の生え方は全く違うので三輪生となっているかどうかですぐに見分けることができます。

枝は比較的まっすぐ伸びますが全体を見ると全身が葉に覆われてもっさりしています。

分布・生息地

日本では様々な場所に植えられていますが、自然分布はしていません。一方で乾燥に強いため、世界各国の乾燥地帯で繁茂していて、広い面積を占有して大きな藪をつくることが知られています。

また、原産地であるインドでは河原や道路わきなどに生えています。

キョウチクトウを植える意味3選

海沿いに植えられているキョウチクトウ

 

景観をよくするため

キョウチクトウは常緑樹のため1年中緑色の葉を付け、日本では比較的珍しく6~9月頃の夏場に色鮮やかな花をつけるため景観をよくするという目的で植えられています。

学校や公園に植えられていることもありますが、有毒成分を含んでいることから伐採しないまでもこれからは本数を増やさないと方針を示している自治体や団体もいます。また、復興のシンボルとして植えられている場所もあります。

生命力が強く街路樹に向いているため

東京都内に植えられているキョウチクトウ

街路樹として植えられているキョウチクトウ

街路樹に向いている木の条件には以下のようなことが挙げられます。

  • 大気汚染や踏圧(人の往来)に強いこと
  • 乾燥や夏の暑さに強いこと
  • 樹齢が長いこと
  • 病気や害虫に対する抵抗力が高いこと

キョウチクトウはこれらの条件に合うため街路樹として向いており、交通量の多い場所の街路樹として植えられることも多くあります。

街路樹の中でも特に住宅街に近い高速道路に植えられていることも多くあります。夾竹桃は地面から高さ3mくらいまで葉と枝が密集しておりフィルターのような働きをするため、有毒成分を含む排気ガスが住宅街のほうに流れるのを防ぐことができます。

火災の被害を抑えるため

キョウチクトウは燃えにくく火に強い特性がある防火樹としての役割を果たすことができます。そのため、工場など外周などに植えられていることもあります。

ただし、燃やした時には有毒成分が煙と一緒に出るのでその点には注意する必要があります。

毒性

キョウチクトウに囲まれた少女

キョウチクトウには、根、花、葉、枝、果実すべての部位に有毒成分が含まれています。また、キョウチクトウの植えられている場所の土壌にも有毒成分が溶けだしているため毒性があります。

さらに、キョウチクトウの葉を腐葉土にした場合には1年程度毒性が残るので腐葉土にする際にも注意が必要です。

食べることで強い毒性を示しますが、食べさえしなければ特に危害が加えられることはありません。また、葉は固く意図せず食べるようなことはできないため、キョウチクトウの毒性を心配する必要はほとんどありません。

しかし、もしも食べてしまうと嘔吐、四肢の脱力、倦怠感、腹痛などの症状が現れ、最悪の場合には死に至る危険性があります。

成分と致死量

オレアンドリンの構造図

オレアンドリンの構造図

含まれる成分には強心配糖体のオレアンドリンなどの成分が含まれています。オレアンドリンの毒性非常に強く、致死量は0.3mg/kgともいわれています。その強さは青酸カリの5~10mg/kgの数十倍にもなります。

成人の致死量は葉っぱ5~15枚程度と言われているほど強力です。

しかもキョウチクトウを食べたときの重症度と摂取量には相関がないと言われており、少し食べただけでも重症になる可能性もあるため間違って食べてしまわないように注意しましょう。

キョウチクトウの事件

BBQの写真

BBQでの惨劇

1975年フランスでBBQを楽しんでいた男女グループがキョウチクトウの枝を串焼きの串として使ってしまったことで、有毒成分がお肉や野菜にしみ込んでしまい、それらを食べた人たちが中毒症状を起こし、そのうち男女7名が命を落としてしまうという事故が起きています。

また、オーストラリアでも同様の事故が発生しており、10名が命を落としています。
日本ではほとんどが人工的に植えられているため、キャンプ場や河川敷にはほとんど生えていませんが、間違ってもキョウチクトウの枝を串や箸、薪として使わないようにしましょう。

飼料に使ってしまった惨劇

乾燥した葉っぱ

乾燥すると毒が濃縮される

1980年に千葉県の農場で友人にもらった飼料を牛に与えたところ、20頭が中毒を起こし、そのうち9頭がこの世を去ってしまったという事故tが起きています。

このもらった飼料の中にはキョウチクトウの葉が混入していたことで起きてしまいました。この時、牛1頭あたり食べたキョウチクトウの量はなんと乾燥葉で約0.5g程度と少量だったことが判明しています。

牛の致死量は乾燥葉で50mg/kg程度と考えられており、その毒性が強さがよくわかります。

まとめ

キョウチクトウはインド原産の猛毒植物で、暑さや乾燥、大気汚染に強いため日本には街路樹などとして植えられています。持っている毒は青酸カリの数十倍ですが、食べさえしなければその毒性の影響を受けることはないため、BBQの時に串や薪として使うようなことをしなければ心配する必要はありません。

広島市の市花になっており復興の象徴ともなっていて、夏には色鮮やかな花を咲かせるので、ぜひ探してみてください。

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