ヤドクガエルとは?
- Allobates属
- Aromobates属
- コオイガエル属 Colostethus
- Cryptophyllobates属
- ヤドクガエル属 Dendrobates
- Epipedobates属
- Minyobates属
- Mannophryne属
- フキヤガエル属 Phyllobates
分布
ヤドクガエルは北アメリカ大陸南部、南アメリカ大陸、ハワイ(オアフ島)に分布しており、低地の熱帯雨林から高山の雲霧林など湿度の高い森林地帯に幅広く生息しています。
ヤドクガエルの中には世界最強クラスの毒を持つ種もいますが、コロンビア固有種であるなど生息地が限られていることも少なくありません。
ヤドクガエルの毒性
ヤドクガエルの毒のもと
ヤドクガエルは体内で毒を生産しているわけではなく、エサとなるアリやダニなどが持っている毒を体内に溜め込む、もしくは溜め込んだ毒を体内で変成させて身を守るための毒として活用しています。
皮膚にある毒腺から毒を分泌しているため、ヤドクガエルを素手で触ってしまうと非常に危険です。
ただし、様々な毒がありますが、いずれも皮膚からは吸収されないため傷や粘膜との接触さければ中毒になるリスクを避けることができます。
また、毒をエサから得ているため長期的に飼育環境化にあり、毒を含まないエサを与えられているヤドクガエルは無毒です。
毒の成分
ヤドクガエルの種類によって主成分は変わりますが、いくつか代表的な毒を紹介していきます。
ちなみに、毒ガエルの持っている毒から800種類以上の化合物が見つかっていますが、十分に解明されているのは70種類以下とも言われているので、まだまだ分かってないことが多いようです。
バトラコトキシン
ヤドクガエルの中でも危険度TOP3に入るヤドクガエル科フキヤガエル属「ココエフキヤガエル」「アシグロフキヤガエル」「モウドクフキヤガエル」の持っているバトラコトキシンは自然界でも有数の極めて強力な猛毒です。
神経毒としての麻痺症状に加えて、心毒性の効果である心臓の血液を送るポンプ機能を弱らせて心不全などを引き起こす効果があります。
ヒトに対する致死量は0.002–0.007 mg/kg程度と考えられているため、体重60kgの人だと0.12~0.42mgの量が致死量になります。
このTOP3のヤドクガエルの中でも最も強力なモウドクフキヤガエルには個体差はあるもののバトラコトキシンが1mg程度入っているため、カエル1匹で10人もの命を奪うことができるくらい強力です。
プミリオトキシン類
ヤドクガエル属のアイゾメヤドクガエルが持っている毒の主成分はアルカロイドの一種、プミリオトキシン類です。
プミリオトキシンはカルシウムイオンチャネルに影響し心筋や骨格筋の収縮を妨げることで、部品麻痺や動きにくさなどの症状が表れて、摂取量が多い場合には死に至ることもあります。
プミリオトキシン類はA,B,Cの3種からなっていて、CはA,Bよりも弱く、また超猛毒であるバラトコトキシンの100分の1~1000分の1という強さのため、毒性は比較的弱いです。
その他、ヤドクガエルに含まれる成分としては、デカヒドロキノリン、コッシネリン、スピロピロリジジンなどがあります。
ヒストリオニコトキシン
ハイユウヤドクガエル(Oophaga histrionica)などの皮膚にある関連毒素(ある構造の毒素)の総称です。ヤドクガエルが持っている毒の中では毒性は弱く、ある実験ではマウスにトリオニコトキシン283Aを5mg/kg投与した場合も3時間以内に回復し、その後の影響も残らないという結果も出ています。
ヒストリオニコトキシンは神経毒として作用するため、体内に入ってしまうと急速に麻痺などの症状が表れます。
ちなみに、高濃度のヒストリオニコトキシンは超猛毒のバラトコトキシンに対して拮抗する効果があることが実証されています。
エパバチジン
ミイロヤドクガエルの持っている毒にエパバチジンという、一説にはカエル1匹の持っている量でバッファロー1匹の命を奪えるという猛毒があります。
猛毒である一方でモルヒネの200倍以上という超強力な鎮痛作用があることがわかっています。
また、ニコチン依存症の治療にも役立つ可能性があることがわかり、しかも依存性などの副作用がない可能性もあるため今後さらなる研究が進むことが期待されています。
一方でその超強力な毒性をどのように無毒化するかという課題もあるようです。
中毒にならないためには?
ヤドクガエルを飼育する方以外は、そもそもヤドクガエルと接する機会もないため、特に心配する必要はありません。また、飼育されているヤドクガエルの多くも無毒な場合も多いです。
中には完全に無毒ではない場合もあるため、素手で直接触れないように注意しましょう。また、ヤドクガエルにとって人間の体温は高すぎるため火傷などの原因にもなりかねないため注意しましょう。
もしも素手で触ってしまった場合はすぐによく洗うようにし、目をこすったり手を舐めてしまうなど、粘膜に付着するようなことは避けましょう。
また、傷口がある場合には毒が触れないように細心の注意を払うようにしましょう。
もしも毒が体内に入ってしまった可能性がある場合にはすぐに救急連絡し病院にて治療を行うようにしましょう。
まとめ
ヤドクガエルはヤドクガエル科に属する200種類以上のカエルを指すことが多く、その中でも毒を持っている一部のカエルを指す場合が多いです。
ヤドクガエルには様々な毒成分が含まれていますが、その中でもバラトコトキシンは生物が持っている毒の中でもトップクラスの超強力な猛毒で、モウドクフキヤガエルに至っては1匹で数十人もの命を奪える量の毒を持っていることがあります。
毒はエサから採取し体内に蓄積させているため、飼育下では無毒になっていることも多く、また攻撃してくるわけではないため、そこまで心配する必要はありません。
美しい見た目をしていることからペットとしても人気があり、また、毒は様々な治療薬になる可能性を秘めているため、今後さらなる注目を集める存在になるかもしれません。
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