全身が毛に覆われた奇妙な見た目の昆虫には猛毒がある!? サザンフランネルモス

地上の生き物
Photograph by Heatherelle

サザンフランネルモス(ボリビアバグ)とは?

Photograph by Benjamin Burgunder

サザンフランネルモスはメガロビギア科に属する昆虫の一種で、幼虫も成虫も全身が長い毛で覆われていて色合いも鮮やかというおもしろい見た目をしています。
日本ではサザンフランネルモスやボリビアに多くの種がいることからボリビアバグなどと呼ばれていますが、生息地域では見た目がペルシャ猫に似ていることから英語の俗語であるPuss(子猫ちゃん)という言葉を使って「Puss moth/Puss caterpillar」などと呼ばれています。
この蛾の幼虫(毛虫)の一種とは思えない可愛らしい見た目に反して、超強力な毒を持っているため素手で触ってしまうのは非常に危険で、生息地域では毒による被害が毎年のように報告されています。

アスプ(エジプトコブラ)
Photograph by Samuel GUIRAUDOU

このような毒性を持つことからアスプ(エジプトコブラ)の名前を使って、イタリアンアスプ、ツリーアスプ、アスプキャタピラーなどとも呼ばれています。

特徴をきちんと写すためにアップで撮影した写真が多いですが、実は幼虫の体長は10mm程度と非常に小さく、成虫でも10~40mm程度と指先に乗るくらいのサイズです。

Photograph by Amber M. King

幼虫に至っては顔も分からないほど全身が毛におおわれていますが、成虫も全身がもふもふした毛に覆われていてます。

色は個体によっても様々で、黄色や明るいオレンジ色など自然界では目立つ色をしている場合もあれば、白や灰色、茶色など木に紛れる色をした個体もいます。

生息地・分布

バージニア州南東部からフロリダ州にかけてのアメリカ東部全域、中央アメリカと南アメリカ、メキシコの一部に分布しています。

Photograph by Jeremiah Degenhardt

オークやニレ、プラムなどの樹木でよく見られる他、バラやツタなど多くの園芸植物でも核にされているため、本種の生息域では非常に身近な存在であり、毒による事故も頻繁に発生しています。

冬は繭の中にいますが、春になると幼虫が出現し始めて晩春になると成虫がみられるようになります。
そのため、春先の庭いじりの時期は特に刺されないように注意する必要があります。

サザンフランネルモスの毒

Photograph by Laura Gaudette

持っている毒の成分は詳しくわかっていませんが、有毒成分が含まれているトゲを持っており、もしも刺されてしまうと格子状の刺し傷ができ、すぐに炎症と激しい痛みを引き起こします。
その痛みは「骨折や鈍器による外傷に似た痛み」「白熱した痛み」などと表現されるほどです。
また、重篤な場合には刺された場所だけでなく手足にまで症状が広がり、灼熱感、腫れ、吐き気、頭痛、発疹、しびれ、呼吸困難などを引き起こします。
幼虫が注目されることが多いですが、幼虫だけでなく成虫も有毒成分を有しているため、飛んでいる成虫にぶつかった際に刺されてしまうなどの被害もあります。

もしも刺されたら?

もしも刺されてしまった場合は、トゲが肌に残っている場合は応急処置としてこすらずに粘着テープを使って取り除きます。また、灼熱感がある場合は氷嚢などで冷やしておきましょう。
最初の接触から数時間以内に治療を受けるのが望ましいとされているため、すぐに医療機関を受診することが重要です。

まとめ

サザンフランネルモスはアメリカ東部全域、中央アメリカと南アメリカ、メキシコの一部に分布している非常に特徴的な見た目をした蛾の一種です。
顔が埋もれてしまうほど長い毛に全身が覆われていて、色も灰色や茶色、黄色、鮮やかなオレンジ色など様々な色合いをしています。
幼虫も成虫も猛毒を持っているため、もしも素手で触ってしまうと炎症と激しい痛みを引き起こし、重症な場合には呼吸困難などにも発展する危険性があります。
春先から幼虫が出現し始めるため庭先のお手入れなどする場合には要注意な危険生物です。

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